国際捕鯨委員会(IWC)の度重なる中止要請を無視して、日本の水産庁は、今日、マッコウクジラ、ニタリクジラ、及びミンククジラ3種計160頭もの自ら決めた捕獲割当量の捕獲達成を目指し、北西太平洋の漁場へ向け、捕鯨船団を送り出した。これは、2000年7月に開かれたIWC総会以来、2度目である。

国際捕鯨委員会は日本のこの捕鯨活動を是認しておらず、中止するよう日本に強く要請している。グリーンピースもこの判断を支持し、日本政府に対して “調査” 捕鯨の中止を要請している。

この捕鯨行為は科学的調査を装った、商業行為である。昨年夏季に行われた “調査捕鯨” では、これまで捕獲していたミンククジラよりも高い値のつくニタリクジラの捕獲に集中したことを見ても明らかである。

水産庁はこのところ、頻繁に「クジラが世界中の魚類資源にいかに影響をあたえているのかを調査する必要がある」と、”調査” 捕鯨の必要性を弁明している。しかし、過剰な捕獲によって激減したクジラに罪を押し付けようとしてもそれは世界には通用しない。魚類の減少問題は人間による乱獲や気候変動などさまざまな要因が複合的に作用した結果であり、単一の原因を特定するのには無理がある。

昨年夏、水産庁は「マッコウクジラはイカを食べている」とさも新発見であるように発表したが、これはすでによく知られた生態である。しかも、この種のイカは深海性で、現在漁業の対象とはなっていない。

捕鯨船団は、先月、南極海の操業から戻ってきたばかりで、一ヶ月足らずで再びクジラを捕るために出港して行った。勤勉と言うよりも、エコノミック・アニマルそのものである。

我々は、日本がIWCを無視することを止め、またこの “調査” 捕鯨そのものを止めるよう日本政府に要求している。明5月11日には、水産庁及び調査の主体である財団法人日本鯨類研究所に対し、抗議文を届ける予定である。





2001年5月11日

農林水産省大臣 武部 勤殿
水産庁長官 渡辺 好明殿

グリーンピース・ジャパン
事務局長 志田 早苗

要 望 書


この度、日本の捕鯨船団が三陸沖を目指して出港しました。

この捕鯨船団の目的は、”調査”であるとされていますが、実際には、国際捕鯨委員会(IWC)の度重なる中止勧告を無視して繰り返されているものであり、これまで商業捕鯨一時中止のモラトリアム中継続して行われてきたミンククジラの捕獲だけでなく、昨年からはニタリクジラとマッコウクジラの捕獲も再開しています。

ニタリクジラに関しては、ミンククジラよりも高い卸価格が設定されました。”調査” と言いながら、より「金になる鯨種」を求め、頭数を拡大するなど、この捕鯨行為は科学的調査を装った、独占企業による商業捕鯨にほかなりません。

“調査” 捕鯨によって日本のイメージは益々悪くなっています。我々はこの傾向に強い懸念を抱いております。

よって、以下の項目を要請いたします。
「異議申し立て」の権利を乱用せず、IWCの勧告・決議を尊重して下さい。
“調査”捕鯨そのものを中止して下さい。