新潟県刈羽郡刈羽村議会は4月18日、東京電力・柏崎刈羽原発のプルサーマル計画の賛否を問う住民投票条例案を可決した。

しかし、品田宏夫村長は、「プルサーマル計画に住民投票はなじまない」と、住民投票案を再議に付して、いわば拒否権を発動することを示唆している。

グリーンピースは、4月19日、品田村長へ再議に付さないよう求めるメールを送信した。また、そのホームページで全国から品田村長へ、再議に付さないよう求めるメールを送ってほしいと呼びかけている。

プルサーマルは、ふつうの原発でプルトニウム燃料を燃やすこと。グリーンピースでは、

● 事故のリスクが高まる
● 使用済みのプルトニウム燃料の処分方法が確立していない
● 労働者の被曝が増す
● プルトニウムが核兵器の材料であることから、核拡散につながる

などの理由から反対をしている。





4月18日、

刈羽村村長
品田 宏夫様

国際環境保護団体のグリーンピースです。
プルサーマル計画の賛否を問う住民投票条例案につきまして、お願いがあります。

再議に付さずに、住民投票を実施してください。


4月19日の新潟日報には再議には「法的根拠がない」という専門家の意見が紹介されています。

行政学の新藤宗幸・立教大学教授の

「1. 法律が想定していない状況の中で、再議はできるのか
2. 村長は条例制定を求めた住民に替わり条例案を提案したのに、提案者自ら条例に異議を唱えることは論理矛盾になる
3. 条例提案者の村長は、住民の条例制定の意志を代行した『経由事務』しか行ってないとの解釈も成り立ち、単なる経由者に異議を挟む余地があるのか — の三点を挙げ、”法解釈上、再議はできない” と指摘する。」
というものと、
地方自治法の石崎誠也・新潟大学教授の
「自治体は首長、議会、住民によって構成され、今回は条例制定を求めた住民と議会の二つの意見が一致した数少ない例になる。議会、住民の一致した意思に村長が拒否権を発動することは、首長としての姿勢を問われる」
というものです。

村長は「プルサーマル計画に住民投票はなじまない」とされていますが、通常、ウラン燃料を使用している原発でプルサーマル燃料を使用すれば、事故のリスクは高まり、そのリスクを引き受けるのは地元住民です。

国際環境保護団体として、村長の判断に注目するとともに、再議に付さず、住民のみなさんの声を村政に反映させていただきますよう、お願いします。

グリーンピース・ジャパン
核問題担当鈴木かずえ