4月9日、グリーンピース・ジャパンが事務局となっている「東電MOX使用差止裁判の会」は、青森県県庁を訪れ、県知事宛ての「プルサーマル凍結に伴い、使用済み核燃料の受け入れ凍結を!」求める要請書を同県エネルギー対策課課長に手渡した。
同課長は、「使用済み核燃料の受け入れについては節目節目で確認しながらやっている」として、無条件に受け入れという立場ではないことを表明した。


以下、要請書





青森県県知事 木村 守男様

要請書

プルサーマル凍結に伴い、使用済み核燃料の受け入れ凍結を!

2001年4月9日
東電MOX差止裁判の会 原告代表 林 加奈子(福島県)



私たちは、福島県で開始されようとしているプルサーマル計画の実施に際し、搬入されているMOX燃料の品質に対し、大きな不正疑惑を抱き、その使用差し止めを求めてこの度行動を起こした会です。残念ながら司法判断は不正の証拠不充分により却下となりましたが、その処分決定直前に、当該知事の政治的判断により、来夏までの使用が差し止められる結果となりました。つきましては、県民930人を含む総勢1915人の原告と、これを支持する多数の声を聞いていただきたく、お願いに上がりました。

つきましては、以下を要請いたします。

一、プルサーマル凍結に伴い、使用済み核燃料の搬入凍結を宣言してください。

二、再処理工場建設を凍結し、核然サイクルの受け入れを返上してください。


理由は以下の通りです。

貴県が、核燃3点セットの受け入れを表明されてからちょうど16年目の4月9日が巡ってきました。この間、核燃施設は次々と建設され、あるいは内外で発生した多種多様の核の「ごみ」が、この地に集積し始めました。しかし、「もんじゅ」の事故、つづいて東海村再処理工場での爆発事故、そしてJCO事故と続いて、ご承知の通り核燃サイクルは立ち往生してしまいました。

こうしてプルトニウムの消費先として核燃サイクルの主役にまつりあげられたプルサーマル計画は、使用済み核燃料の再処理方針保持のための唯一のアリバイとしてその使用が強く望まれ、当面、福井、福島、新潟で先行実施の予定とされました。

一方でこのプルサーマル計画はその危険性に対する不安から、実施予定地でいずれも大きな反対運動が展開されてきました。

そのような中、福井県高浜原発用に製造された英国BNFL社製MOX燃料の品質保証検査に不正が判明したことは、プルトニウム燃料とウラン燃料の根本的な相違を浮き彫りにし、加えて国と電気事業者による検査体制への不信を増幅させました。ついには福島県知事が核燃料サイクルを含めたエネルギー政策の見直しを県独自で行い、国へも提言していくことを宣言するに至りました。プルサーマルの先行実施予定として認可された4機は現在いずれも開始のメドが立たず、すでに搬入済みの高浜4号、福島第1-3号、柏崎刈羽3号用のMOX燃料は、未だに炉内使用済み核燃料料プールで水冷保管中です。高浜4号は製造元への返品、福島は開始凍結の上事前了解の返上も示唆され、柏崎でも住民の大反対の下、実施が危ぶまれています。高浜3号用のMOX燃料は、輸送されることもなくすでにスクラップ行きの可能性もあります。

こうした状況を直視するならば、プルサーマル開始による核燃サイクルの始動は未だに実施されず、昨秋に始まった六ヶ所村への使用済み核燃料の本格搬入は、関係者の早まった行為であったとの非難を免れ得ません。これを了解された貴県としても、今一度再考され、使用済み核燃料の搬入を始めとする核燃サイクルの凍結を決断下さいますよう要請致します。「国と事業者に翻弄されてきた」と自戒する福島県の深遠なる言葉に耳を傾け、木村知事におかれましても、県民本位の政治を行なっていただきますよう、心よりお願い申し上げます。