東京電力柏崎刈羽3号機用ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の輸送船がオーストラリアの排他的経済水域に入ったことが、3月2日、グリーンピースの探索によりわかった。グリーンピースは、かねてよりプルトニウム輸送船を飛行機を使って探索しており、3月1日にはタスマニア島沖480キロメートルを航行しているのを発見していた。

探索のためにチャーターした飛行機に乗っていたグリーンピースのダニエル・モーズ機長によれば、「パシフィック・ピンテール号」と「パシフィック・ティール号」は、現地時間3月2日午後12時30分、タスマニア島南海岸から約400キロメートルを航行していたという。オーストラリアの排他的経済水域200海里の6海里内側にあたる。
確認された両船の位置は以下の通り。

「パシフィック・ティール号」は南緯46度33分、東経149度23.9分
「パシフィック・ピンテール号」は南緯46度39.3分、東経149度26.7分

7隻の非核船団がプルトニウム輸送船と出会い、抗議行動を実施するのは3月6日(火曜日)になる模様。

2月27日にはオーストラリア上院でオーストラリア政府にタスマン海を通過することに反対をすることを求めた決議が可決している。また、南太平洋フォーラムの事務局であるクック諸島とナウル共和国はこれらの輸送への反対を表明している。ニュージーランドの首相も抗議声明を発表している。




今回のプルトニウム輸送と、同時期に行われた高レベル放射性廃棄物輸送への抗議声明・報道


12月21日
チリ・アルゼンチン・ウルグアイ政府が高レベル放射性廃棄物輸送に対しての抗議声明を発表。

1月18日
ニュージーランドの外務・通商大臣が抗議声明を発表。その中で、強い懸念を表明。事故発生時の包括的な責任を負うことを英・仏・日が拒否していると非難。とくに懸念されるのは、MOXが核兵器に転用可能な点を指摘した。

1月20日
南アフリカの環境・観光省が声明を発表。その中で、南アフリカの領海および排他的経済水域を避けるよう要求。

1月23日
クック諸島の首相が声明を発表。その中で核のゴミの輸送による、観光業、漁業、その他の産業に引き起こす経済的な損失を憂慮。事故発生時の賠償措置についての、より進んだ仕組みを要望している。

2月3日
朝鮮民主主義人民共和国がMOX燃料輸送を非難していると報道(AP-ダウ・ジョーンズより)された。朝鮮民主主義人民共和国政府機関紙は最近の日本のMOX燃料輸送を非難している。日本当局は今回の核燃料は発電のために使われるとしているが、朝鮮民主主義人民共和国は、この燃料により日本は核兵器を製造するつもりがあるのだとしている。

2月14日
ナウルの首相代行が抗議したと報道された。ナウル政府は太平洋のかけがえの無い海洋環境がプルトニウム輸送によるリスクに曝されることに非常に失望しており、憂慮している。他諸国と協議し賠償のメカニズムについての合意をする。最大級の抗議をする。