本日、佐藤栄佐久福島県知事は県議会でプルサーマル燃料の装荷はありえないと述べ、事実上の装荷拒否宣言をした。

プルトニウム燃料は当初の計画では1999年内に福井県高浜原発4号機、福島第一原発3号機に装荷されることになっていたが、高浜原発4号機用プルトニウム燃料の品質管理データに不正が発覚し、同機での使用が延期、通産省の指示で福島原発用プルトニウム燃料の品質管理データについても再確認をするため延期されていたが、福島第一原発3号機については、今年の4月以降に装荷される予定だった。

2000年8月9日に全国の市民860名あまりが「福島第一原発3号機用のプルトニウム燃料にも品質管理データに不正の疑いあり」として使用差止仮処分を求めて提訴した。今まで、5回の審尋と1回の口頭弁論が開かれており、この3月1日で結審を迎える。
福島県はこの裁判に「重大な関心を持って」おり、福島県知事は、プルサーマル実施の前提の一つである「県民理解」は、東電が裁判で「丁寧に答えていくことで理解が出てくる」としていた。そこで、裁判の行方が注目されていたが、2001年2月8日に東電が突然、新規の発電所建設計画の凍結方針を発表してから事態は急転した。
東電の発表を受けて、当時ソウルに出張していた福島県知事は「見直しにはプルサーマルも含まれると思う」「4月の装荷はありえないと思う」と発言していたが、本日の県議会での拒否宣言で、装荷の延期は確実となった。

福島県知事の反撃の背景には、福島県が推進していた広野火力発電所計画が凍結の対象とされたこと、エネルギーはベストミックスといいながら、福島県では原発だけを突出させていた、と言った事情があると各新聞紙上で分析されている。しかし、グリーンピースでは、プルトニウム燃料使用に対する県民の不安を代弁した要素も大きいと見ている。
プルトニウム燃料使用差止裁判の原告は現時点で1900人を超え、そのうちのほぼ半分を福島県民が占めている。また、知事は「原子力発電所は危険施設かもしれないと思う」とも述べている。
「国とけんかする覚悟」という県職員の勇気や、「プルサーマル見直し発言ありがとう」とバレンタインデーに知事あてのチョコを送ったという福島県民の支持に支えられて、今日の県知事によるプルトニウム燃料装荷拒否宣言があるのではないか。県民の命を守るという県知事のもっとも基本的な仕事をまっとうしようとしているのではないか。

今回原告団が裁判所に提出する証拠に日本原子力研究所の報告書があるが、日本原子力研究所は自らの報告書の中で、燃焼の進んだMOX燃料の破損の危険性について、決定的に実験データが不足していることを明らかにしている。福島が先であれ、新潟が先であれ、その地はプルトニウム燃料実験場となってしまうのである。

グリーンピース・ジャパンでは、本日、東京電力株式会社社長と経済産業省大臣に、福島、柏崎刈羽原発でのプルトニウム燃料使用中止、プルトニウム利用政策撤回を求めた要請書を郵送した。





要請書

東京電力株式会社 代表取締役社長 南直哉様

プルトニウム利用の撤回を求める要請書

2001年2月26日
グリーンピース・ジャパン
事務局長 志田早苗
核問題担当 鈴木かずえ



本日、福島県知事は県議会において、プルサーマル燃料の装荷はありえない、という事実上の装荷拒否宣言を行いました。

ご存知のように、福島県は、これまでもプルサーマルの実施に、慎重姿勢を取ってきました。そして、2月8日に東京電力株式会社が新規の発電所建設計画の凍結方針を発表したとき、当時ソウルに出張していた福島県知事は、凍結には「当然プルサーマルも含まれると考える」「4月の装荷はありえないと思う」と発言しました。続いて10日には「原子力政策全体について見直す時期で、1年くらいは県民の皆様の意見を聞いていきたい」と会見で語りました。そして本日、県議会でプルサーマル燃料の装荷はありえないという拒否宣言となりました。

こうした福島県知事の意思表明を、真意はわからないとしながらも、新潟県知事も「県民感情から言っても一番ということであれば、私としては受け入れるわけにはいきませんねといわざると得ないと、漠然と思っている」と述べています。

知事らの発言は、県民の声を代弁したものです。

貴社は「プルトニウム利用という国策に協力しているだけ」と言われるかもしれません。しかし、社会的責任のある企業として、環境を破壊する発電方法は止めるべきです。

本日の福島県知事のプルトニウム燃料拒否宣言を踏まえて、以下を要請します。

福島県、新潟県で予定されているプルトニウム燃料利用計画を撤回すること

プルトニウム利用政策を撤回すること

徹底した省エネルギーと環境への負荷の小さい再生可能エネルギーの利用によるエネルギー政策を推進し、これ以上放射性廃棄物を増やさないという前提のもと、放射性廃棄物処分問題の解決をはかること






要請書

経済産業省大臣 平沼赳夫様

プルトニウム利用の撤回を求める要請書

2001年2月26日
グリーンピース・ジャパン
事務局長 志田早苗
核問題担当 鈴木かずえ



本日、福島県知事は県議会において、プルサーマル燃料の装荷はありえない、という事実上の装荷拒否宣言を行いました。

ご存知のように、福島県は、これまでもプルサーマルの実施に、慎重姿勢を取ってきました。そして、2月8日に東京電力株式会社が新規の発電所建設計画の凍結方針を発表したとき、当時ソウルに出張していた福島県知事は、凍結には「当然プルサーマルも含まれると考える」「4月の装荷はありえないと思う」と発言しました。続いて10日には「原子力政策全体について見直す時期で、1年くらいは県民の皆様の意見を聞いていきたい」と会見で語りました。そして本日、県議会でのプルサーマル燃料の装荷拒否宣言となりました。

こうした福島県知事の意思表明を、真意はわからないとしながらも、新潟県知事も「県民感情から言っても一番ということであれば、私としては受け入れるわけにはいきませんねといわざると得ないと、漠然と思っている」と述べています。

知事らの発言は、県民の声を代弁したものです。今、経済産業省でできることは、福島県知事、新潟県知事の声を重く受け止め、環境にとって破壊的なプルトニウム利用というエネルギー政策を放棄することです。

本日の福島県知事のプルトニウム燃料拒否宣言を踏まえて、以下を要請します。
福島県、新潟県で予定されているプルトニウム燃料利用計画を撤回すること

プルトニウム利用政策を撤回すること

徹底した省エネルギーと環境への負荷の小さい再生可能エネルギーの利用によるエネルギー政策を推進し、これ以上放射性廃棄物を増やさないという前提のもと、放射性廃棄物処分問題の解決をはかること