モナコ、アムステルダム:

国際捕鯨委員会(IWC)は本日より、捕鯨規制に関する新たな計画を “更に前進させる” ための専門部会をナコで開催する。捕鯨推進国は商業捕鯨の早期再開に躍起になっている。

鯨の海洋生息区域はすでに汚染、地球規模の気候変化、オゾン層破壊や乱獲などの脅威に晒されている。

1986年、IWCは商業捕鯨をいったん中止するというモラトリアムを設定した。しかし、日本とノルウェーはその後のIWCからの度重なる中止勧告をものともせず、依然として捕鯨を止めてはいない。それだけではなく、捕獲量は年々増加しており、2000年には二カ国で合計1000頭以上にものぼった。

万が一IWCが捕鯨再開案に傾けば、捕獲量はたちまちに拡大する可能性がある。

最近、ノルウェーの捕鯨業者は年間捕獲割当量を現在の4倍にしろと政府に要求し始めており、ノルウェー当局までもがモラトリアム決定以前の状態を超えて、年間3000頭の捕獲を要求する事態になっている。「調査」を標榜する日本も、公海での母船式捕鯨再開を要望し、IWCが鯨のサンクチュアリと宣言した水域内で捕鯨産業を確立したがっている。

そもそも国際的な機関であるIWCが設立されたのは、鯨が極めて移動性に富んだ動物であり、いかなる国にも属していないからである。しかしながら、捕鯨業者は常に効力のある国際捕鯨規制に反対しており、今回の会議でもその態度をあらためることはないだろう。

捕鯨国の動きが活発化しているのは、例えば以下のエピソードでも明らかである。
先週、日本は、「IWCとして、日本国内で販売されている鯨肉のDNA監視を行う」という提案に反対する旨の表明をした。この監視業務は密漁鯨肉が市場に入ってこられないようにするためのものである。痛くもない腹を探られるのならば不愉快ではあっても、拒否するはずがない。拒否をするというのは、違法な鯨肉が流通している可能性を、日本自らが認めているからに他ならない。

また、3週間前、ノルウェーは、鯨肉の輸出再開を表明した。ノルウェーはCITESが鯨肉の国際取引を禁止する条項(ミンククジラは、付属書1にリストアップされている)を留保しているが、対外的な配慮からこれまで輸出を控えてきた。ノルウェーはこれまで3度にわたって、ミンククジラを、国際商取引が可能な「付属書2」に移動させようと試みたがことごとく失敗に終わっている。

今回の会議は、捕鯨反対国であり、広大なる鯨サンクチュアリ-創設に賛成票を投じた国、モナコで開催される。

グリーンピースは、IWCが鯨の利用からその保護に焦点を変えるよう要求を繰り返していく。