東京電力柏崎刈羽原発3号機で使用する予定のウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を輸送するための船が、英北部のバロー港を現地時間1月15日11:30頃に出航、フランス北部のシェルブール港に向かっている。
日本までは、南アメリカまわり、南アフリカまわりのどちらかを取ると思われ、それぞれ約8週間、30,000キロメートルの旅となる。
シェルブール港からの出航は17日と予想されたが、18日にずれこむ可能性も出てきた(いずれも現地時間)。
なお、それぞれ30ミリ砲3基を携えた核輸送船「パシフィック・ピンテール号」(5,271トン)「パシフィック・ティール号」(4,862トン)の両方ともが港を離れている。

今回の輸送は2回目となるが、1回目に運ばれたプルトニウム燃料のうち、関西電力高浜原発用はその燃料を製造した英国核燃料会社BNFL社のデータ不正により、英国へ返還することとなっており、東京電力福島原発用燃料の使用は、臨界事故、データ不正事件などの影響で使用が延期となっている。
また、福島県民世論や、「燃料ペレットの寸法抜き取り検査で不合格ゼロは統計上現実的にはありえず、不正が行われた可能性がある」として現在行われている福島原発用MOX燃料差止裁判の影響もあるのだろう。

前回燃料が運ばれた後になって不正が発覚し、日本政府とくに通産省は不正隠しに荷担(少なくとも、英国規制当局の警告をすぐさま公表せず、対応が遅れた)したという反省もない事実に加え、柏崎刈羽原発でのプルサーマル計画に対しては、現在、刈羽村では、村議会でいったんは通ったプルサーマル計画の賛否を問う住民投票条例案を村長が差し戻したものの、署名で過半数を得ての直接請求によっての条例制定をめざす動きが生まれ、5月から6月の投票実現にむけて運動が取り組まれており、こうした地元感情を無視した形で輸送の準備が進められているのは許しがたい。

昨日(14日)、プルトニウム燃料が一時保管されていると思われるラ・アーグ再処理工場からシェルブール港への核燃料輸送用鉄道を非暴力直接行動により封鎖したグリーンピースの活動家はフランス当局により逮捕されている。
輸送に対する航路周辺国からの強い抗議にもかかわらず、今回の輸送も、今までのところ航路周辺国への事前通知はない。輸送船名、プルトニウム燃料の量、出発日、出発港などについての正式な発表は、船が公海に出る二日前、航路の発表は一日後に行われるという。
現在、過去最大規模の日本の高レベル放射性廃棄物も公海を航行中であり、各国からの反発は必至だ。

可能性のある航路は、

カリブ海経由でパナマ運河を通過、太平洋を横断するパナマ航路
南アフリカの希望峰経由でタスマン海から南太平洋の希望峰航路
南アメリカのホーン岬経由で南太平洋のホーン岬航路

の3つ。
核物質の輸送は今後も増えるが、日本の外務省によれば上記全ての航路が “バランスよく” 使用されていくといい、特に、(今後)パナマ航路を使わないことはありえないという(国会答弁書より)。