抗議声明
2000年12月1日
グリーンピース・ジャパン

「原発推進特措法(正式名称:原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法案)」の成立に抗議する


多くの市民がこの法案を成立させるべきではないと行動しましたが、大変残念なことに本日強行採決されました。提案した与党3党の責任の重さは言うまでもありませんが、最大野党である民主党の態度が二転、三転し、最終的には「反対」したものの、易々と審議入りを許した民主党の責任は大きいと考えます。

日本は国策として原子力エネルギーを推進しています。しかし、この法案が出てきた背景を考えれば、原発を推進することそのものに無理があるとみてとれます。原発を推進するというその目的。そのためにお金をばらまくというその方法。読んでみると目を疑いたくなるような、政治的レベルの低い法律です。確かに、お金をばらまくことでしか、原発は推進できなくなったということでしょう。そして、なぜ、そうなのか。

それは、もう、国民が、原発にウンザリしているからです。減るどころか、ますます被害の大きいものとなっている事故。行き場の無い核のゴミ。原発を建てようと狙われた場所は地域社会が賛成、反対に二分され、崩壊していく。

すでに電力の需要は右肩上がりでないのに、なぜ、「需要は増える」という発想を変えず、原発を増やすのか。「リモコン待ちなどの待機電力の全国合計は原発2、3基分」(朝日新聞8月3日)という。省エネルギー、高効率化の余地はまだ十分にあります。

また、原発に比べて環境への負荷の小さい風力、太陽光、バイオマスなどといった再生可能なエネルギーの潜在能力をなぜ、過少評価するのか。

毎日新聞が11月25日に、その社説で「予算ばらまきは筋違い」と書きました。朝日新聞が11月29日に、やはり社説で「なんという時代離れ」と書きました。両社とも、「再生可能(自然)エネルギーこそ、推進すべき」と受け取れる文章を含んでいます。こうした社説は国民を代弁していると考えます。

本日、「これからも原発を次々につくろう」という法案が成立しましたが、これで原発が簡単に建つほど、民意は低くありません。しかし、次の大事故が起こる前に、国会は、国民の意識レベルに追いつくべきです。