日本政府が派遣する、捕鯨船団は、11月17日9時半すぎ、山口県の下関から、出航した。本日、国際環境保護団体グリーンピースは、南極海の鯨サンクチュアリーに向かう日本の捕鯨船団の出港を厳しく非難した。日本が行う捕鯨は、来春まで続く予定。

グリーンピースは、「捕鯨を繰り返すことによって、日本は国際的な了解事項に背き続けている」とし、*1 この捕鯨の責任者である水産庁に対して、船団を引き返させるように日本政府に呼びかけている。

「捕鯨産業の助成金によって設立された民間団体に実施させる捕鯨であり、また水産庁の補助金も受けている。日本は、この “調査” はIWCのために実施しているのだと主張しているが、当のIWCでは、科学者たちが “結果として出される情報は現在進めている作業には必要ない” との認識で合意している」と、グリーンピース・インターナショナルのジョン・フリーゼルはコメントを発表した。

7月には、IWCは日本政府に南極海のクジラサンクチュアリーでの捕鯨許可の発行をやめるように日本政府に勧告した。*2 南極大陸を囲むこのクジラサンクチュアリーは1994年に23対1の票決で(日本だけが反対した)設立された。

「今日出港した捕鯨船団は、捕獲鯨種を拡大したことによってこの夏国際的な激しい論争を引き起こした北西太平洋での捕鯨から9月20日に帰港したばかりである。その論争が収まらないうちに、またしても捕鯨のために南極海に送り出すことは、国際社会を挑発しているとしかいいようがない」とジョン・フリーゼルが言った。

北西太平洋での捕鯨も、IWCの科学委員会に支持されていないのにかかわらず、「調査」という名目で実施された。IWCでは、「この調査の主要目的は鯨を殺すことを正当化することができない」とも、合意されている。

8月21日には、アイルランドをはじめ15カ国 *3 が東京で外交上の抗議を行い、この“調査”捕鯨が実施されることに対して、深い失望をあらわした上で、IWCの決議に従うように日本政府に呼びかけている。

米国政府は、2カ国間の会議をキャンセルし、貿易制裁を検討するなど、抗議をしている。

アメリカの国会議員16人は、日本がいわゆる“調査”捕鯨をやめるまで国連安全保障理事会の常任理事国入り支持を差し控えるように、クリントン大統領に要請した。出港前日にクリントン大統領が森首相に捕獲数を減らすように要請したが、森首相は合意しなかった。

「このように一民間団体と一官庁が、捕鯨産業の利益のために、国際的な組織の決議と国際世論を無視することは、とんでもない。我々が日本人の意向を知るために行った世論調査 *4 の結果を見れば、なおさらである。捕鯨を支持する日本人はわずか11%で、反対する日本人は14%。日本政府は、調査の名目で南極海サンクチュアリーでの鯨が殺されないように、水産庁が発行した捕鯨許可を直ちに取り消すべきである」とフリーゼルは結論づけている。





NOTES:

日本は国連海洋法を批准しており、日本はこの条約を尊重すべきである。65条と120条では「states shall co-operate with a view to the conservation of marine mammals and in the case of cetaceans shall in particular work through the appropriate international organizations for their conservation, management and study」(国家は、海生哺乳類保護の観点から協力するべきであり、鯨類に関する保護、管理、研究のために適切な国際的な組織を通して特に働くべきである)となっている。日本がIWCの決議に従わなかったことがこの条約の条件を破っていることになる。

IWCの決議は日本政府に「2000/2001年度の南極海サンクチュアリーでのミンククジラの捕獲の特別許可発行をやめるよう」勧告している。

15カ国は:オーストリア、ブラジル、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、メキシコ、モナコ、オランダ、ニュージーランド、スウェーデン、スイス、米国、イギリス。

「日本と捕鯨:日本人の態度と行動」99年11月~12月、グリーンピースとIFAW(国際動物福祉基金)が共同でモリ社会研究所に委託し、実施した調査による。 詳細結果は、 強く捕鯨を支持する:2%、捕鯨を支持する傾向がある:8%、強く捕鯨を反対する:3%、捕鯨を反対する傾向がある:11%、殺す理由による:20%、殺す方法による:4%、支持も反対もしない:39%、しらない/意見がない:13%