福島県や全国の市民が東京電力福島第一原発3号機用ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の使用差止を求めた仮処分申請の第3回審尋が、10月27日、福島地方裁判所で開かれた。

前回(9月18日)東電は、原告側の主張(東電が、福島用MOX燃料片(ペレット)抜き取り検査で不合格がゼロであったとしているが、それは不正がない限りありえない)に対し、反論を試みたが、裁判長から「次回までに明確な反論をするように」と求められていた。

本日提出された準備書面・陳述などの中で、東電は、ベルゴニュークリア社の不良品の発生率が低ければ、不合格ゼロは不自然ではない、と述べた。また、ベルゴニュークリア社の不良率は、MOX燃料データの不正を行なって問題となった英国核燃料会社(BNFL社)の200分の1以下であれば、不合格ゼロも不自然ではない、と主張した。

これに対し、原告側はベルゴ社の不良率が、BNFL社の 200分の1以下であることを、証拠を示して証明することを要請した。次回、この点をめぐって、双方が論争を行なう。

次回以降の審尋の予定は次の通り。

・11月28日(火):10時~12時
・12月26日(火):10時半~16時
(原告以外の人による証人尋問を行なう予定)

なお、本仮処分申請原告団は、代表者を数人たて、通産省による「東京電力福島第一原発3号機用MOX燃料輸入燃料体合格証交付」に対し、10月10日、行政不服申立を行い、処分庁である通産省に受理された。申立理由は、通産省は規制当局としての機能を放棄している事実から、その通産省の交付した合格証には異議があるというもの。申立書の中で例を二つあげている。

規制当局である通産省は、関西電力高浜原発用英国核燃料会社BNFL社製MOX燃料の審査において、英国政府規制当局から不正燃料は日本、との示唆を受けていたのにもかかわらずそれをひた隠し、不正隠しに荷担した。

福島用MOX燃料に関しては、製造会社のベルゴニュークリア社が規制当局には品質管理データを開示すると回答しているのにもかかわらず、あえて見ようともしていない。(国会議員福島瑞穂議員への政府答弁書に同旨記述あり)

現在、通産省内で手続きが進められており、時期は未定だが、聴聞会などが予定されている。


(東電MOX差止裁判はグリーンピース・ジャパンや他の市民団体の呼びかけで、今年8月9日に提訴したものです。)