グリーンピースは、9月11、12日と二日間にわたって、国際運輸労連(ITF)・全日本海員組合(JSU)と会合を持ち、マグロの便宜地籍船問題を中心に意見交換を行った。この会合は、昨年10月に続いて2回目である。

意見交換は前向きに、また建設的に行われ、3者の合同による声明がまとまった。3団体はこのような率直な対話を続けていくことを確認し、二日間の会合を閉会した。

昨年の会合後、マグロ輸入の最大手である三菱商事が「便宜地籍船からのマグロ買い付けを取りやめる」と宣言を出した。

グリーンピースはこの間、今年5月、大西洋において便宜地籍船の監視活動を行い、便宜地籍船が採捕したマグロを洋上で転載するリーファー(冷凍運搬船)を目撃し水産庁に情報を提供するなどの、便宜地籍船廃絶に向けた活動を重ねてきており、今後も続ける予定である。





合意声明


ITFと全日本海員組合とグリーンピースは、2000年9月11日・12日、東京で会議を開き、共通の関心事について議論した。

会議は、FOC船による漁業を含めたIUU漁業の問題に焦点を置いた。このような漁業活動が、魚類資源の保存と持続的利用を根本から脅かし、結果として、漁船員の生活と多くの共同体の食糧安全保障の両方を脅かすということに会議は合意した。公海マグロ漁業の漁獲物の圧倒的大部分が、日本の市場に仕向けられていることから、会議は、公海マグロ漁業に特別な注意を払った。

三者は、日本政府ならびにJSU、日本の水産使用者団体が行った多くの努力を歓迎した。それらの措置の中には、(FAO行動計画に沿った)スクラップによる過剰漁獲能力の削減、買戻し計画を通じて、以前に外国に売却された中古船のスクラップを実行する措置、また自国民および自国法人の、それらの船舶への就労、またはIUU/FOC船が漁獲した魚介類の取引を行わないことを確保する措置などが含まれた。

以下の必要性があることが、合意された。:

FAOにおいて、IUU/FOC漁業の抑止と廃絶のための強力で包括的な行動計画を採択し、FAO未加盟国を含んだ全ての国(特に台湾)によって実行させること。

行動計画が、旗国の自国船に対する有効なコントロールの実行を求め、これが相互取引措置を通じて究極的にさらなる措置によって支持され、それによってIUUあるいはFOCによる漁獲物が世界市場で取引されないことを確保すること。

行動計画が、FOC/IUUの漁獲物のあらゆる転載を効果的に禁止することを確保すること。

ITF方針に従い、FOC制度を排除すること。

すべてのリーファーをFOC国から受益・支配国へ移すことを確保するよう努力すること。これは、マグロ取引において当該船舶が果たす役割を認識してのことである。

会議は、三組織間の対話が、さらなる相互理解に貢献することに合意し、将来の会議で対話を継続することを決議した。


2000年9月12日 東京




用語に関して

FOC:便宜置籍船。Flag of Convenienceの略
各種漁業協定に加盟していない国に船籍を置くことによって、捕獲規制のかかっている魚種を捕獲している船。ことに、マグロに関して設けられているいくつかの国際条約をかいくぐるために利用されている。FOCによって捕獲されたマグロの多くは、日本市場に持ち込まれている。

IUU:「違法・無報告・無規制」の略