【サイパン(自治領北マリアナ諸島)/東京発】


グリーンピースは本日、北マリアナ諸島サイパンにある、米国四方長官代理事務所に対して地元住民とともにデモを行い、米軍が持ち込んだPCB廃棄物による汚染を浄化するよう要求した。北マリアナ諸島自治政府の汚染調査報告書においても、米国がサイパンの住民と環境の保護を怠ってきたことを「全くの怠慢と犯罪性」として糾弾している。

グリーンピースのキャンペーン船「虹の戦士」号は現在サイパンに寄港しており、乗組員や活動家たちは、本日このPCBを含む有害廃棄物の残る村タナパグ(Tanapag)で、危険を警告する看板を設置し、汚染土壌をフェンスで囲んだ。そして住民とともに米国司法長官代理事務所へデモ行進し、米国政府がPCB廃棄物の責任をとり早急に汚染除去を行うことを要求する書簡を提出した。

PCBを含むトランスはもともと1960年に北マリアナ諸島に投棄され、以来土壌汚染を引き起こし、また、地下水に浸出してきた。米国は、PCBトランス廃棄物を置き去った時、このPCB廃棄物の有害性について地域住民に何一つ知らせなかったため、島民はトランスが極めて有毒な化学物質を含んでいることを知らずに、縁石や防風垣、墓石に使ってきた。現在このタナパグ地域では、高い罹がん率や白血病、染色体の変化、生殖異常が報告されている。

自治政府の報告書は、米国国防省米軍技術部の行った浄化作業が、事実上PCB汚染を除去していない「偽誓的」な行為であったと糾弾している。今回グリーンピースがフェンスで囲んだ汚染土壌も、国防省が処理を試みたものの、除去未完のまま残していったものである。現在も一部の墓地ではPCB濃度25,000ppmという高レベルの汚染土壌が残され、それらがビニールシートをかけただけというずさんな状態で放置されたままになっている。

またこの報告書は、1992年からサイパン島ではPCBによる高レベルの地下水汚染がおきていることを米軍技術部 は知りながら、島民にその事実を知らせず、汚染の除去も怠ってきたことを指摘している。

今年の4月、在日米軍基地から出されたPCB廃棄物が、一旦カナダへ向けて出港し、カナダ、米国で拒否されてまた日本へ戻されてきた。その廃棄物は5月に、やはり太平洋のウェイク島へと送致された。

米国政府は太平洋の島々へと問題を押し付けることを直ちにやめ、自ら責任をとえい、危険なPCB廃棄物が二次汚染を引き起こさない方法で処理するべきである。