MOX問題に取り組む市民団体は、本日、通産省と質疑応答を行なった。その結果、関電用MOX燃料データねつ造問題からの教訓が東電用MOX燃料審査には全く生かされていない実態が明らかになった。関電用MOX燃料は、データの公開があったからこそ、市民の分析により不正が明らかになったのに、通産省は、東電用MOX燃料のデータをより強く東電に求めていくつもりはないと話した。

英核燃料会社BNFL社MOX燃料データねつ造問題をふまえ、通産省として、再発防止対策についてとりまとめを行なうために資源エネルギー庁のもと、BNFL社製MOX燃料データ問題検討委員会(注1、以下BNFL委員会)が設置された。会議は、3月21日(火)、4月20日(木)と開かれ、日時は未定の次回が最終回の予定である。MOX問題に取り組んでいる市民団体の福島老朽原発を考える会、原子力情報室、グリーンピース・ジャパン、プルサーマル公開討論会を実現する会、グリーン・アクション、美浜・高浜・大飯原発に反対する大阪の会など15団体のメンバーは、これまでも協力して調査研究を行なっていたが、これを機会に「東電用MOX燃料データ問題市民検討委員会」を結成、本日通産省を通じてBNFL委員会に要請書を提出した。また、BNFL委員会の位置づけについて、通産省と質疑応答を行なった。

通産省は、BNFL委員会での資料として、問題点の整理を出しており、そこですでに、

関電の調査方法等についてより厳格なチェックを行なうべきではなかったか
関電のデータ分析等の妥当性の評価に当たり、より踏み込んだ検討を行なうべきではなかったか
ロットP824に不正なしとした関電の判断の評価はより慎重に行なうことが可能だったのでは

といった反省点を出しており、また未然防止に関して、

輸入MOX燃料の品質保証体制については、通産省の規制の関与が十分であるか検討が必要では
検査データの不正については、今後有効な未然防止策について検討が必要では

といった問題点を指摘している。

しかし、BNFL委員会では、東電用MOX燃料については議題外となっており、委員への配布資料にも東電関連の資料は入っていない。市民団体はこの点について、東電のケースを不正防止対策の至近の例として、BNFL委員会でも取り上げるよう、要請している。



質疑応答の内容 (●は通産省の応答の要約)


BNFL委員会で不正の防止策、輸入MOX燃検査の見直しが検討されているが、東電福島第一原発3号炉用、柏崎刈羽用は、見直しの対象になるのか。

●通産省は、福島用MOX燃料については、すでに輸入燃料体検査申請はなされているので、適用されないと応えた。柏崎用MOX燃料については、輸入燃料体検査申請はなされていないので、制度が改正されることがあれば、新制度が適用される。

BNFL問題の反省点が、東電用MOX燃料審査に生かされていない点をどう考えるか。

●東電用MOX燃料審査については、専門家をつれて現地調査も行なっており、全体をみて判断する。

抜取検査については、規格に従わず、事業者間の協議でこれを変更して行なったことが明らかになっている。また、原子炉設置許可申請書には、安全審査指針に従い準拠すべき規格が挙げられているが、東電用MOX燃料検査での規格の元となったMIL規格はそこでは挙げられていないが、問題ないのか。

●設置許可申請は、MOX燃料ペレットについては、対象ではないと考えている。指針がない場合は、公式規格相当のものに準拠していればよい。



(注1) 通産省の電気事業審議会基本政策部会BNFL社製MOX燃料データ問題検討委員会(資源エネルギー庁公益事業部原子力安全企画審査課担当:市村/小林(TEL03-3501-6289/FAX03-3580-8535)。 市村さんは、本日の市民との質疑応答の対応もした。