先月横浜港へ送還された在日米軍のPCB廃棄物は、安全に処理される見通しのないまま、本日午後4時頃、太平洋のウェイク島へと出航する。

運搬船「グリーンウェーブ」に積み込まれるコンテナ。海上から撮影。


グリーンピースは、「PCB 遠くへ送ってごまかすな! Don’t Dump on The Pacific」と書いた横断幕を掲げ、このPCB廃棄物を安全に処理するための具体的な計画も明らかにしないまま、米国が、監視の目のとどかない太平洋の遠隔地へと危険なPCB廃棄物を送り出したことを強く非難している。

ウェイク島は米軍施設が占有し、施設関係者以外の住人はいない。ウェイク島に関する公式ウェブサイト *1 によれば、”有害で危険な廃棄物が地下に貯蔵され、表土は石油化学物質に汚染されている。ロケット燃料の流出や燃焼による排気、焼却や発電所からの排煙、放射性物質が存在する可能性がある….” 等の記述があり、この太平洋の環礁の島はすでに、有害廃棄物を遺棄する場と化している。

米国が安全処理の保証をしないまま、このPCB廃棄物を移動しても、それは問題を一つの地域から別の地域へと移すだけであり、解決にはつながらない。有害廃棄物が一旦人の目の届かないところへ送られれば、それが環境に安全な方法で、責任をもって処理されるかどうかが危うくなる。 *2 米国政府が、環境汚染を引き起こさずに安全処理することを確約しない限り、太平洋地域の環境が今後さらなる汚染の脅威に晒されることになる。

米国は、この危険な廃棄物を、焼却に代わる分解技術を採用して無害化し、安全処理の責任を遂行するべきである。いかなる環境被害を与えることなく、米国の責任において米国が処理するべきである。

焼却に代わる確実な技術は、すでに存在し実用化されている。オーストラリアでは、シドニー・オリンピックの会場が隣接したホームブッシュ湾に投棄された有害廃棄物の除去のために、その技術が採用されている。しかしながら、こうした技術の運用を始める前には、適切にコントロールされることが保証され、地域社会の意思が十分に反映されることが不可欠である。


グリーンピースのスタッフは、米軍ノースドッグ前に向かったが、手前の橋の前で、警邏隊と神奈川県警によってそれ以上近づくことを拒否され、そこで横断幕を拡げた。



*1:http://www.enenkio.wakeisland.org/wq.htm

*2:グリーンピースは、今回のPCB廃棄物のような米軍の有害廃棄物について、以下のような原則を主張している。
1. 焼却処理を行わないこと:この廃棄物がどこで処理されることになろうとも、焼却という手段を用いず、閉鎖系で安全に無害化処理する必要がある。
2. 汚染者の責任:このPCB廃棄物は米軍のものであり、これは米国の責任と費用負担によって処理されなければならない。
3. 社会の監視と参加の保証:(地域)社会がそれを監視し、処理に関しても意思決定に参加できることが保証されていなければならない。