現在「汚染なき未来を」ツアーで、瀬戸内海航行中の国際環境保護団体グリーンピースの旗艦虹の戦士号は、本日午後2時より、地元の「長島の自然を守る会」などともに、中国電力上関原発予定地沖で船団によるパレードを行い、「上関原発はいらない」と訴えた。地元の船は、漁船、クルーザーなど、55隻が参加した。

パレードを終えた後、虹の戦士号船員らは、下松港で「長島の自然を守る会」代表らと交流した。「長島の自然を守る会」から、原発予定地域周辺に存在していることがわかった世界最小のクジラの一種であるスナメリや、絶滅危惧種のハヤブサの写真、「上関原発絶対反対」の旗などが贈呈された。旗は、すぐさま、虹の戦士号の一番高いマストに掲げられた。虹の戦士号からは、虹の戦士号が、フランス核実験抗議に参加した時の写真を贈呈し、「核兵器も原発もない世界を」と訴えた。また、虹の戦士号船長ピーター・ウィルコックスは「長島の自然を守る会」に、上関原発計画の撤回を求める山口県知事への手紙を託した(添付資料参照)。

船長は、地元のテレビ局のインタビューに答えて、「原発は、何千年も残り、人々の健康を犯す放射能を出す。そのような発電方法は許されてはならない。そんな原発を、このような美しいところに建てようという計画がなぜ、あるのか、理解できない。」と述べた。

パレードは、上関原発予定地沖を出発点に、祝島にコースで約10キロ。1時間かけて56隻の船がパレードした。虹の戦士号の船体には、「NO NUCLEAR POWER IN KAMINOSEKI」(上関に原発はいらない)と書かれた横断幕が掲げられた。地元の船には「上関原発絶対反対」の旗が掲げられていた。

虹の戦士号の初仕事は、1978年の英国の原発反対抗議行動。1980年代には、核実験に対する抗議船として、太平洋で活躍。1985年7月10日、核実験抗議行動をうとましく思っていたフランス軍により爆破された。その後、フランス政府からの賠償金により、現在の虹の戦士号を購入、90年代も、フランス核実験への抗議で太平洋を航海している。船長のピーター・ウィルコックス(米国1953年生まれ)は初代の虹の戦士号の船長もつとめた。全長55.2メートル。総トン数555トン。平均速度は8ノット。帆船だが、エンジンもついている。定員は30人。今回、上関を訪れたのは、日本、米国、英国、イタリア、アルゼンチン、スペイン、セント・ビンセント・グレナディーン、オランダ、ニュージーランド、ガーナ、チュニジア、インドなどからの16人。それぞれが、上関周辺の美しさに打たれると同時に、原発計画への怒りを新たにしていた。






添付資料

山口県知事、二井 関成様
2000年4月18日


中国電力の上関への原発立地計画について、国際環境保護団体グリーンピースより、二井県知事にお手紙差し上げます。

現在、グリーンピースでは、「汚染なき未来を」をスローガンに、有害物質の海や大気への排出ゼロを求めて、虹の戦士号による日本ツアーを行なっています。4月14日に、不法に有害廃棄物が投棄された香川県豊島で、投棄廃棄物の採取を行い、17日に、そのゴミを香川県庁に届けました。有害廃棄物は、排出者が最後まで責任を持って処理しなければなりませんが、なにより、まず、出さないことが重要です。そして、有害廃棄物の中でも、最もやっかいなものの一つが、放射性廃棄物です。

現在、日本では、使用済核燃料を、青森に集中させて管理することにしています。しかし、そのようなゴミの押し付けは許されないことです。この問題の解決は、原子力発電所そのものを無くしていくことしかありません。

また、原子力発電所は、日常的にも、放射性廃棄物を大気中に、海中に放出します。現場の労働者にも被曝を強いています。そのような施設は、世界中のどこにもあってはならないものです。まして、日本では、電力の需要はさがっています。新たな原子力発電所を建てなければならない理由はありません。

三重県が、芦浜原発計画を白紙撤回した事実は、世界中に届いています。グリーンピースは三重県の北川知事の決断を歓迎します。二井知事も、世界に恥じることのない決断をしてください。それは、すなわち、上関に原発は建てさせない、という決断です。

核兵器も、原発もない世界のため、ともに行動していきましょう。


グリーンピース・インターナショナル 虹の戦士号 船長、ピーター・ウィルコックス