東電報告の却下、MOX燃料データ公開、プルサーマル計画の撤回を

国際環境保護団体グリーンピースは29日、県から東電に対し、MOX燃料品質データの十分な公開を求めること、東京電力による福島と柏崎のMOX燃料に関する報告書を不十分として却下すること、プルサーマル計画の撤回などを求める新潟県知事への要請書を県の商工労働部に提出した。


ベルギーMOX燃料加工会社は「東電がデータ公開拒否」と

東電報告で公開されている情報の量は、品質保証の妥当性について、包括的な分析を行うには、全く不十分である。
東京電力ではデータを公開しない理由を、ベルゴニュークリア社との契約上、守秘義務があり、同社の専有事項で言えないとしている(3月24日、市民との質疑応答にて)

しかし、1999年12月22日、グリーンピース・ベルギーのヤンデ・バンデ・プッタがベルゴニュークリア社の広報部に電話をして、データの公開を求めたところ、同社の広報部は、公開には、東京電力と親会社であるコジェマ社の許可が必要と答えた。追って連絡をとったところ、東京電力は、公開を拒否したという。
さらに、公開の前に東京電力が見たいのだと言っていたという。関西電力はMOX燃料の外径計測全数データを公開している。東京電力も公開できるはず。


東京電力の認証期間AIBバンソット・インターナショナルの第3者性に疑問

グリーンピース・ベルギーの調査で、浮かび上がった東京電力の認証期間AIBバンソット・インターナショナルの第3者性への疑問についても、報告した。
ベルゴニュークリア社はSCK-CENという政府出資の研究機関から派生したものである。そして、そのSCK-CENがCORAPROを設立し、CORAPROは、後に別の認証会社AIBバンソット・ニュークリアと合併する。
バンソットグループやベルゴニュークリア社をはじめとするベルギーの原子力産業との直接的な関係からして、MOX燃料の安全性について保証するという点で信頼できる会社といえるのかどうか、東電は説明する義務を負っている。


プルトニウム・ホットスポットが起こす重大事故のリスク

また、27日に日本で発表したグリーンピースと英国の核物理学者フランク・バーナビー博士*1 共著論文「混合酸化物核燃料の品質管理」を提出した。
論文は、MOX燃料ペレットの品質管理の問題を明らかにしている。特にMOX燃料ペレット中のプルトニウムが、偏りなく混ぜられているかどうかを確かめる安全検査の不十分さに焦点をあてている。
温度が高くなるためプルトニウム・ホットスポットと呼ばれるプルトニウムの偏りは燃料被覆管の破損、放射能漏れ、そして重大な事故のリスクを相当増大させることにつながる。
日本の原子炉で起こったような冷却剤喪失事故(99.7敦賀原発)では、炉心の過熱を起こし、最悪の事故ではメルトダウンをおこす。

*1:フランク・バーナビー博士 Frank Barnaby:1951-57年、英国政府核兵器研究所。1971-1981年、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)所長。現在、オックスフォード・リサーチ・グループなどのコンサルタントとして活躍。