ドイツの原子力企業で、ドイツの電力会社のために、仏核燃料会社コジェマとMOX燃料加工契約を結んでいるシーメンスは、コジェマ社製造のドイツの原発用MOX燃料の品質管理データのコンピューター入力漏れを起こしていたことを明らかにした。
シーメンスの発表では、別のドイツの原発用に製造された英国核燃料会社BNFL社によるデータねつ造問題と同列に語られている。その原発は閉鎖され、MOX燃料は取り出されている。
シーメンスは現在、全ての過去のMOX燃料の品質管理データをコジェマに要求している。少なくとも、1996年以降のシーメンスへのコジェマ社のMOX燃料の供給はかなりなものであるはずだ。

グリーンピースはMOX燃料は現在、カタラッシュ(フランス)にあるコジェマ社のMOX燃料加工工場にあると考えている。同社の別の工場、メロックスは現在、関西電力のためのMOX燃料を製造している。BNFL社によって製造された関西電力用のMOX燃料は高浜原発3号に送られており、品質管理データのねつ造により、使われる予定はない。

シーメンスによれば、コジェマのMOX燃料はドイツのイサール(Isar)2号用に使用される予定だったという。南仏のカダラッシュの工場は年間40トンものMOX燃料を生産でき、ドイツ向けのみを製造している。1999年12月、イサール2号はカダラッシュで製造された48体のMOX燃料集合体を装荷していた。(この分のデータの入力漏れがあったのかどうかは不明)

「これはプルトニウム氷山の一角にしか過ぎない。MOX燃料の製造というものは、本質的に欠陥があるというのが我々の理解だ。そのために、MOX燃料の品質の保証はしっかりしていないし、品質管理データは日常的に操作されている可能性もある。
コジェマは今週、パニックに陥るだろう。BNFLを襲った災害がいま、彼らにも起ころうとしているのだから。MOX燃料加工契約をコジェマと結んでいる関西電力と東京電力は心配し始めたほうがいい。BNFLに対する信頼は崩れたが、コジェマ社への信頼も同じように崩れるだろう」とグリーンピース・インターナショナルのショーン・バーニーは述べた。

シーメンスによれば、計測検査のための抜取数は、MOX燃料ペレット7000個中に100個となっていなければならないところ、ペレット60個分しかなかったという。「ソフトウエア」上の問題で、40個分のデータが入力されなかったという。
(ちなみに、東京電力用のMOX燃料を製造しているベルギーのベルゴニュークリア社での抜取は、約7000個のペレットから、32個以上と、東電と同社との協議で規定されている)

もし、グリーンピースが危惧するように、コジェマ社によるMOX燃料品質管理データの改ざんであることが明らかになり、それが、ドイツの原発にすでに装荷されているMOX燃料分のものであるなら、ドイツ当局は、それらの原子炉の即時閉鎖、燃料取り出しを余儀なくされるだろう。
BNFLのデータねつ造MOX燃料を使っていたために、原子炉の閉鎖と燃料取り出しを行なったウンターベーサー原発の運営体であるプロイセンエレクトラは、賠償金をBNFLとの契約主であるシーメンスに求めている。

グリーンピースは、MOX燃料品質管理に関する論文を27日に福島県で発表する。