三菱商事は、12月17日、今後は便宜置籍船によって漁獲されたマグロを取り扱わないとする宣言を発表した。

便宜置籍船とは、各種漁業協定に加盟していない国に船籍を置くことによって、捕獲規制のかかっている魚種を捕獲している船。ことに、マグロに関して設けられているいくつかの国際条約をかいくぐるために利用されている。
便宜置籍船によって捕獲されたマグロの多くは、日本市場に持ち込まれる。

三菱商事のこの判断をグリーンピースは歓迎し、今後この宣言が実態を伴った効果を現すよう努力することを求めていく。

世界中でとれるマグロの半分以上を日本人が消費している。マグロビジネスにとって、日本は一番の得意先であり、とりわけ刺身として消費されるような品質の高いマグロが世界中から集まってくる。

業界最大手の三菱商事がこの宣言を出したことで、他社もなんらかの意志表示をすると思われるが、現段階では輸入の段階で既に便宜置籍船由来のマグロなのかどうかがわからなくなってしまっているため、同社の宣言だけでは実効を伴わないのが現状である。
今後は実際にマグロの過剰漁業が廃絶されるよう、関係各省庁に引き続き働きかけをしていく。



これまでの経過


10月21日
グリーンピースは、国際運輸労連(ITF)・全日本海員組合(JSU)と会合を持ち、捕鯨問題を含むさまざまな環境問題について意見交換を行った。意見交換は前向きに、また建設的に行われ、3者の合同による声明がまとまった。3団体は今後もこのような率直な対話を続けていくことを確認した。
声明の中で3者は、便宜置籍船によってもたらされるマグロを廃絶に持ち込むため、にっかつ連の同義の決議文を支持することを盛り込んだ。

12月15日
水産庁がマグロ関係業者111社に対して行政指導。

12月17日
グリーンピースの海洋問題担当マシュー・ジアーニ(米国)が、業界最大手の三菱商事に対して、便宜置籍船からのマグロ買い付けをやめるよう要請書を送付。

12月20日
三菱商事が取引先に対して便宜置籍船由来のマグロ取引取りやめの旨を通知。