【 東京発 】

JCOウラン加工工場の職員であった大内久さんが、12月21日夜、亡くなった。

9月30日に東海村にあるウラン加工工場で起きた臨界事故から、83日めに死亡したことになる。大内さんの死去は、国の原子力政策、とりわけプルトニウム高速増殖炉利用計画が、どんなに悲惨な犠牲を払っていることを表している。

大内さんは、他の作業員2人と共に高速実験炉「常陽」用の濃縮ウラン核燃料(MOXプルトニウム燃料の原料)を加工中に臨界事故が起き、被曝した。

高速増殖炉は、日本の長期的原子力政策ではまだ中心的なものである。しかし現実的には、費用と本質的に危険な技術から生まれる様々な問題が存在し、今後30年間高速増殖炉が新しく建設される可能性はきわめて低い。実際に、日本とロシア以外の国々は高速増殖炉の計画を中止している。

高速増殖炉は、核拡散という意味でも危機をもたらす恐れがある。日本政府は注意を払おうとしないが、中国と韓国は、日本の増殖炉の計画を疑惑の目で見ている。

また、イギリスのBNFL社が製造した、関西電力高浜原発用のMOXプルトニウム燃料は、製造データのねつ造が判明して、関西電力は使用中止を決めた。
その上東京電力福島第一原発用に製造されたベルゴニュークリア社(ベルギー)によるMOXプルトニウム燃料も、その品質に大きな疑いが持たれている。

東海村の臨界事故は、1000分の1グラムのウランの核分裂によってもたらされた。それにもかかわらず、政府は、通常の燃料より危険である数千キログラムのプルトニウムを通常の原子炉で燃やそうとしている。

東海村の事故は、国の原子力政策、とりわけ高速増殖炉と原子炉でのプルトニウム利用計画(プルトニウム経済)の直接な結果である。
今回以上の悲惨な事故が起きる前に、日本政府は長期的な原子力の政策を見直すべきである。その一歩として、巨大なプルトニウム利用計画を中止すべきである。