参議院議員の福島瑞穂議員(社民党)によると、東京電力福島第一原発に納品されたベルゴニュークリア社製のMOXプルトニウム燃料に関して、品質検査に非常に問題が多いことが判明した。
福島議員は12月19日付で通産省に質問を求め、本日20日に通産省から説明を受けている。

英国BNFL社でのMOXプルトニウム燃料にデータねつ造が明らかになったため、関西電力高浜原発3号機に続いて、来年1月から使用開始する予定だった高浜原発4号機でのMOXプルトニウム燃料使用も中止(長期延期)になった。

東京電力は、9月にBNFL社のMOXプルトニウム燃料に関してデータねつ造の疑いが持ち上がった際に、ベルゴニュークリア社のMOXプルトニウム燃料の品質確認を行い、通産省に報告書を提出しているが、この報告書を検証すると、ベルゴニュークリア社の検査方法・品質評価の質は、BNFL社よりも劣っていることが読みとれる、という。

「東京電力の報告書には、品質保証の方法は書かれているものの、品質そのものを把握できる資料は何も示されていない。この報告書で、ペレットの品質そのものに問題がないことを確認できるとは思えない」(福島瑞穂議員秘書、竹村英明氏)

福島瑞穂事務所によれば、

この報告書にはそもそもペレットの総数もロット数も書かれていない。
BN社によるペレットの全数検査が行われたとは読みとれない。
この報告書には、設計仕様値も検査基準値も、どこにも書かれていない。
報告書からは、BNFL社と関西電力との契約にあったような全数検査と抜き取り検査のダブルチェック方式が、BN社との契約でも取られているようには読めない。
等の問題点がある。これらについては、通産省は以下のように回答した。

内容について調べないと答えられないものがある。
ベルゴニュークリア社では、ペレットの全数検査はしていない。


福島第一原発および柏崎刈羽原発用のMOXプルトニウム燃料のペレットの総数は、全部で43万個ほどであるが、品質保証は抜き取り検査で行われる。外径のデータが残っているのは、43万個のうち抜き取り検査が行われた5873個のみである。
ベルゴニュークリア社の品質保証システムは、「ウィルスタンダード105」(米国陸軍の納品基準)を満たしている。
同社の工場は、ISO9002を取得している。

ベルゴニュークリア社が全数検査をしない理由について、通産省では、
「BNFL社の製造技術は低く、歩留まりが悪い。全数を検査した上に、抜き取り検査も行う必要がある。これに対してベルゴニュークリア社の製造技術は高く、全数検査を必要としない」と回答した。

また、上記の東京電力作成の報告書は、実際には「通産省との共同作成」に等しいもので、バージョンの異なるものがいくつも存在し、国会議員に対して提供されたものの中にさえ、完成版以外のバージョンのものがあるという。

「中村敦夫議員が入手した報告書と福島議員が入手した報告書をつきあわせる機会があり、内容が異なっていたので大変に驚いた。これは、通産省が東京電力の報告書を偽造したとしか考えられない事態である。
現在、いくつのバージョンが存在し、どこをどの段階でどのように加筆削除させたのかがわかるように提示するように求めている。
いずれにせよ、東京電力の報告書を、通産省が独自の立場でチェックし判断するという二重チェックにはなっていないことは明らかです」(竹村氏)

「JCO東海村事業所の臨界事故を引き合いに出すまでもないほど、日本政府に核を管理する能力がないことは、誰の目にも明らかになった。MOXプルトニウム燃料の利用計画をいますぐ中止すべきだ」 グリーンピース・ジャパン事務局長 志田早苗は、このように語っている。