【1999年12月02日午後3時・ブリュッセル発】

欧州連合の加盟国は本日、満場一致で初めての欧州連合全域における軟質塩ビ玩具の「緊急的な禁止」を支持した。
欧州連合の製品安全委員会は15の欧州連合加盟国の職員で構成されており、1日、現在流通している口に入れる軟質塩ビ玩具に用いられている可塑剤のうち有害なフタル酸エステル類6種を禁止するという委員会の提案を全会一致で支持した。
欧州連合で緊急禁止措置が製品に対して適用されるのは今回が初めてのことあり、軟質塩ビ玩具がその最初の対象となった。

この禁止については1998年5月に審議が始められ、今回の製品安全委員会の全会一致の賛成を受けて、欧州委員会は来る12月8日に正式に可決できる運びとなった。これが可決されると加盟国は、この決定を10日以内に実施するために必要なすべての措置を取らなければならない。

この緊急禁止は、グリーンピースが2年以上に渡って警告してきた、軟質塩ビが小さな子どもの健康に危険を及ぼすという問題が正式に欧州連合レベルで確認されたことを意味する。

一方日本国内では、子ども用の玩具について行政機関による塩ビやフタル酸エステル類の規制は未だ行われていない。
欧州で規制される有害な軟質塩化ビニル玩具が、日本で野放しのままにクリスマスを迎えれば、小さな子どもがさらに塩化ビニル玩具の危険に晒されることを、グリーンピース・ジャパンは警告し、本日厚生大臣に要請文を送付した。

今回の欧州連合による禁止では、対象とされた製品を小売店は店頭から回収する義務がなく、また3歳未満子供向けのすべての軟質塩ビ製品を対象としたわけではないため、消費者は引き続き注意が必要であるとグリーンピースでは警告している。
委員会は実際「店頭にある製品は健康に対して重大で直接的な危険をもたらす」と述べてきたが *1、新しい製品や小売店から発注された製品しか対象としていない。
しかし、小さい子どもはどんな玩具でも口に入れる事実はよく理解されており、今回の口に入れることを目的とした玩具のみを対象とした禁止は、3才未満の子どもを対象としたもの全てに拡大される必要がある。

また、店頭回収が行われなければ消費者にとっては、自分が買おうとするおもちゃが有害物質を含んだ塩ビ製品であるか否かがわからない状態におかれることになる。
流通市場から3才未満子供向けの軟質塩ビ玩具と子ども用製品を即時回収することが、今年のクリスマスに有害なおもちゃをプレゼントされることから子どもを守り、また、小売店が消費者の信頼を得る唯一の道でもある。



*1:当該化学物質[DINP, DEHP, DBP, DIDP, DNOP, and BBP]を一種類以上含む、3歳以下の子供向けの軟質塩ビ製の口に入れる玩具や用品を市場に出すことを禁じる手段の適用に関する委員会の決定案の前文から:”toys and childcare articles for young children made of soft PVC containing phthalates are liable to present a serious and immediate risk to health”; “given that toys and childcare articles of soft PVC containing phthalates intended for being placed in the mouth by children under three years of age present a serious and immediate risk, it is necessary to prohibit immediately their placing on the market”.