グリーンピースは、10月20、21日と二日間にわたって、国際運輸労連(ITF)・全日本海員組合(JSU)と会合を持ち、捕鯨問題を含むさまざまな環境問題について意見交換を行った。意見交換は前向きに、また建設的に行われ、3者の合同による声明がまとまった。
3団体はこのような率直な対話を続けていくことを確認し、二日間の会合を閉会した。




* 用語に関して

FOC:便宜置籍船。Flag of Convenienceの略
各種漁業協定に加盟していない国に船籍を置くことによって、捕獲規制のかかっている魚種を捕獲している船。ことに、マグロに関して設けられているいくつかの国際条約をかいくぐるために利用されている。FOCによって捕獲されたマグロの多くは、日本市場に持ち込まれる。


合意声明

ITF(国際運輸労連)、JSU(全日本海員組合)、GP(グリーンピース)は1999年10月20日・21日、東京において、互いの関心事について多くの問題を議論した。

ITF、JSU、GPは捕鯨問題に関し、率直な意見交換を行った。各代表の立場に変化はなかったが、今後もこの問題に対する対話を継続することに全員が合意した。
また、海上の安全確保の問題についても、3組織は積極的に協議し、今後とも十分安全を考慮した活動を行うことを確認した。

さらに、地球規模の気候変動、森林破壊、漁業における乱獲、原子力産業による脅威、有毒物質とくにダイオキシンによる汚染などの環境、社会への懸念などの主要な問題も話し合われた。各組織がこれらの問題に取り組むことを参加者全員が認識し、可能な場合は協力することに合意した。より具体的な問題については、以下の問題について3組織が共同し、協力することに合意した。

水産、商船両分野におけるFOC制度の廃絶。
FOC制度は国際法の否定につながるだけでなく、持続可能な発展の概念とも両立しえないものである。この考えのもと、3組織は、労働組合、グリーンピース共同でCSD7(持続的開発に関する国連委員会)に提出した文書を確認した。

3組織は、FAO行動規範に対する義務を確認し、各国政府、その他関係団体に規範を遵守するよう要請した。

3組織はまた、国際社会に対し、「公海における漁船による国際的保存管理の規定遵守を促進するためのFAO協定」を批准、実行することを要請した。FAO協定の速やかな実施により、不法、未規制、未報告(IUU)の漁業を撲滅するための有用な手段ができるだろうということが合意された。
3組織はまた、「ストラドリング・ストックと高度回遊魚の保護・管理のための国連条約」を批准することをすべての政府に要請した。

3組織は、責任ある漁業に移行し、FOC漁業問題を解決するために日本が行った努力を歓迎し、日本の主張に他の国も従うよう要請した。
3組織はまた、日本政府と国際社会に対し、FOC籍で行われるIUU漁業を根絶するために、さらなる対策を講じるよう要請した。

3組織は、マグロ流通に関わるすべての者に対し、FOC漁船の獲ったマグロの売買、取扱いを控えるように求めて、日本鰹鮪漁業共同組合連合会が、1999年9月に採択した決議を強く支持した。
3組織はまた、とくに三菱商事を含むすべての日本商社がFOCマグロを扱わないこと、FOC制度撲滅に積極的に協力するよう要請することに合意した。

最後に3組織は互いの関係するすべての問題について、率直な対話を保つこと。そして12ヶ月以内に対話を持つことに合意した。


1999年10月21日
東京