MOXプルトニウム燃料を積んだ2隻の輸送船は、今日早朝にも福島第一原子力発電所専用港に入港および荷降ろしする予定であったが、悪天候のため計画を中止し、明朝以降に延期になった。
グリーンピース・ジャパンは、MOXプルトニウム燃料の利用をやめるよう改めて警鐘を鳴らす。

グリーンピースのキャンペーン船アークティック・サンライズ号は、今朝の時点で専用港の沖3マイルまで接近し、世界初のMOXプルトニウム燃料の海上輸送が完結するのを目撃するために待機していた。

福島第一原発用のプルトニウム燃料を積んだ輸送船パシフィック・ティール号は、未明に海上保安庁の5隻の船に付き添われて、いったんは福島の専用港の2海里以内の海域に入った。しかし東京電力から入港中止の指示が出たため、5時45分に再び公海の方に向かった。
このとき、高浜原発用のMOXプルトニウム燃料を積んだパシフィック・ピンテール号は、専用港から12マイル東沖で、保安庁の船1隻に付き添われながら僚船の荷降ろしがすむまで待機する体勢にはいっていた。

現在、2隻の輸送船は日本の領海に入ったところで、天候が回復するのを待っていると思われる。

アークティック・サンライズ号に乗り組んでいる鈴木かずえは以下のように語った。

「今朝の福島沖は波が高く、強い雨が降っていて、私たちはデッキに出ることすらできません。2隻の輸送船も同じ海域にいるはずで、危険なMOXプルトニウム燃料を積んだまま、強いうねりに翻弄されているのです。太平洋に面した沿岸地方の人々もが感じている不安は、まさに輸送ルートに面した沿岸国が感じていたものを同じはずです」

今朝2時ごろにアークティック・サンライズ号が日本海領海に入った直後に、海上保安庁の船「ざおう」がアークティック・サンライズ号に対して、
「無害通航権にあたらないから領海内を出よ」と、指示してきた。
これに対してアークティック・サンライズ号は、
「2隻の輸送船の航行を妨げるようなことは目的としておらず、ただ、生き証人として、時代の大きな変わり目を目撃しようとしているだけだ」と返答し、領海内にとどまった。

この輸送については、沿岸国から次々に非難声明が出されてきた。総理府が8月に発表した世論調査の結果でも、7割の人が原発の安全性などに対して不安を感じると回答している。

この1日の猶予を、日本政府や東京電力はプルトニウム利用計画撤回するための検討に充てることを強く求める。



■ 22日早朝のできごと

午前2時 MVアークティック・サンライズ号は福島沖に到着。非常に悪天候で、1マイル先も見えなかった。

2時30分 レーダーで2隻を捕捉。10ノットで近づいてきた。領海内では海上保安庁の船5隻が、2隻を出迎えた。

3時30分 輸送船と海上保安庁の船が合流した。

4時 アークティック・サンライズ号は福島沖3マイルの所まで到達し、海上保安庁「ざおう」から、公海に出よとのメッセージを受け取る。

4時15分 ティールが、5隻の海上保安庁の船に付き添われて専用港に向かった。

4時15分 ティールが、5隻の海上保安庁の船に付き添われて専用港に向かった。

4時45分 アークティック・サンライズ号は福島沖3マイルにとどまっていた。パシフィック・ティール号は保護されながら陸に向かっていたが、

5時 速力を落として陸から2マイルの時点で方向転換した。アークティック・サンライズ号は、専用港沖北6マイルの位置にいた。

5時30分 パシフィック・ティール号は公海のほうに向かって動き出した。そのとき、パシフィック・ピンテール号は、陸から12マイル沖、北緯37度23分、東経141度8分のところで、1隻の保安庁の船に護衛されて待機していた。

5時45分 アークティック・サンライズ号は東電がの接岸中止を決めたとの知らせを受けた。

5時50分 アークティック・サンライズ号、公海に向けて動き出した。「ざおう」はあいかわらずアークティック・サンライズ号につきまとっている。