日本、米国、カナダ、オーストラリアの先進国4ヶ国が、ダイオキシン、フラン類など非意図的な難分解性有機汚染物質(POPs)の「発生・排出をなくす(elimination)」ことを目指す世界的な対策を、阻もうとしている。

日本を含む先進国4ヶ国の政府代表は、現在国連環境計画のもとジュネーブで行われている地球規模のPOPs規制条約を策定するための交渉会議(INC3)で、条約に、POPsの「発生・排出をなくす(elimination)」という目標が盛り込まれることに反対している。

日本の政府代表は、INCで対策が検討されている、優先的に対策を行うべき12種類のPOPsのうち、9日(18:00-21:00)に行われたダイオキシン類など非意図的POPsに関する会合(コンタクト・グループ)において、POPsの「発生・排出をなくす(elimination)」のは不可能であり、その目標(elimination)は受け入れられないとした。

9日および10日に外務省地球規模問題課に福島瑞穂議員(参)が確認したところ、日本政府の立場として、「発生・排出をなくす(elimination)」を支持することを関係省庁の間で合意しているはず(同課加藤氏)とのことで、現地ジュネーブでの発言と、この合意との間に乖離が生じている。

日本は、7日に行われていた非意図的POPsの会合でも、「全廃(elimination)という目標を設定すると、多くの国が条約に参加しなくなるだろう」と、全廃目標に対して婉曲な反対ともとれる発言を行っていた。
これに対し、グリーンピースは8日、外務大臣、環境庁長官、厚生大臣、通産省大臣に対して「全廃を目指して削減」するという、目標を支持するよう要請書を提出している。

2ヶ月ほど前にベルギーで起こった鶏肉のダイオキシン汚染は、少量のダイオキシンが予期せぬ経路で食品に紛れ込んだことから、日本をも含む世界的な食糧スキャンダルへと発展した。
ダイオキシンなど非意図的なPOPsによるこうした脅威を防ぐ唯一の方法は、ダイオキシン類の「発生・排出をなすこと」を目標として削減することである。