【1999年9月6日ジュネーブ発】


本日グリーンピースは世界50の環境紛争の事象を収めた「開かれたパンドラの匣:世界50のPOPs紛争地帯」を発表した。
この報告書は9月6日から開かれたスイスのジュネーブで開かれるPOPs(残留性有機汚染物質)条約策定のための第3回政府間交渉委員会(INC3)の開催に合わせて発表された。

この報告書に掲載された地域・地点は、2000年のシドニー五輪オリンピック村の一部であるオーストラリアのホームブッシュ湾から北極に至る。
日本からは、東京都の日の出町(廃棄物処分場)、埼玉県の所沢市他(通称くぬぎ山の産廃焼却)、茨城県竜ヶ崎市および新利根町(一廃焼却炉)、岡山県中央町(塩ビ電線を含む産廃野焼き、産廃焼却炉)、和歌山県橋本市(不法産廃処理場)、香川県豊島(産廃不法投棄)、能勢(豊能郡の一廃焼却炉)の7ヶ所が掲載されている。

グリーンピースは、INCの各国代表団へ報告書を配り、最も危険かつ残留性の高い化学物質群であるPOPsの全廃に合意することを求めた。同時に、会場の外では、12人以上の活動家および子供たちが、ダイオキシンやその他有害化学物質汚染に苦しむ子供たちの写真を手に、POPs全廃を訴えた。

発表された報告書「パンドラの匣:世界50のPOPs紛争地帯」では、世界中からダイオキシンその他のPOPsの集積や汚染の現場、あるいは塩化ビニルの工場、汚染された産業地帯や野積み状態で廃棄されているPOPsなどを収録している。報告書を一覧すると、多くの工業過程や産業活動が、結果的に人や環境に対して長期にわたる汚染を引き起こしている様子が描き出される。

POPsとして知られる非常に毒性の強い化学物質はまた、発生源から長距離を移動し、人や環境の汚染を引き起こす。ダイオキシンを含め多くのPOPsが、ベルギーの鶏肉から遠隔地の北極や、オーストリアやアルプス山脈など山岳地帯の湖といった、あるはずのないような場所から検出されている。
この報告書でもPOPs汚染が地球規模に広がっていることを示している。掲載された50の事例はランダムであるが、アルゼンチンであれヴェトナムであれ、POPsの汚染から逃れられる場所はもう地上のどこにもないことが見て取れる。

国内に深刻なダイオキシン問題を抱える日本をはじめ、各国政府は、この条約がPOPsのただ “削減” にとどまるのではなく “全廃” を目標とし、環境や人の将来の安全を担保できるものになるよう、確約すべきである。

この報告書はこの先何年かにわたって、以下の諸国の環境紛争地帯について情報更新を行う予定である。

アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、バングラデシュ、ベルギー、カナダ、デンマーク、日本、レバノン、モザンビーク、ネパール、オランダ、パキスタン、フィリピン、タイ、トルコ、イギリス、米国、ベトナム。

レポート全文(英語・写真付き)はグリーンピース・インターナショナルのホームページでご覧に慣れます。

概要と、日本に関連する部分は日本語版がありますので必要な場合はグリーンビス・ジャパン([email protected])までご連絡ください。

国連環境計画の現在の優先対策12物質:アルドリン、クロルデン、DDT、ディルドリン、ダイオキシン類、エンドリン、フラン類、ヘプタクロル、ヘキサクロロベンゼン、マイレックス、PCB、トキサフェン