2000年末までに確定される残留性有機汚染物質に関する国際条約の作成のために、国連環境計画のもとで政府間交渉(INC)が行われてきた。第3回政府間交渉会議はスイスのジュネーブで、9月6日~11日まで行われるが、この交渉会議に向けて、グリーンピースは報告書「ダイオキシンの発生源を絶つ:世界が緊急に行うべきこと」を発表した。報告書には、ダイオキシンの発生源を絶つ必要性と、そのための戦略が書かれている。

グリーンピースは、各国政府に対し、作成される条約では、環境中のダイオキシンの排出の「削減(reduction)」にとどまるのではなく、ダイオキシンの発生を「なくす(elimination)」ことを目標として合意するよう求めている。

ダイオキシンを始めとするPOPsは、発生源から離れて長距離距離を移動するため、遠距離に住む人々や世界中の環境を汚染する。北極の人里離れたけがされていない場所でさえ、POPsを確認することができるのである。さらに、難分解の性質により、一旦環境に放出されたPOPsが、生物に蓄積、濃縮されて、食物を通して人間その他の生物が摂取する事態を引き起こしている。こうした物質に関して、削減という、一定の排出を許す目標では、環境や健康の確保は望めない。

今年5月に国連環境計画の発表した「ダイオキシン・フラン発生源インベントリー」では、日本のダイオキシン大気排出が世界のほぼ半分を占めている。この意味で、日本が世界のPOPs汚染に対して負う責任は大きいといえる。また、大気や水への排出を制御(削減)するために導入された、排ガスや排水処理によって生じた固形廃棄物や汚泥などが有害な産業廃棄物として排出され、環境や人の健康に対する国内の重大な脅威ともなっている。

この意味で日本は、
ダイオキシンの排出をなくすという確固たる目標を持ち
この目標を素材政策(ダイオキシンの原因物質である塩素など有害物質やそれら に依存するを、より環境に負荷のないものへ代替する)を通して達成する
必要性の最もつよい国であるといえる。

日本を始め各国が、条約交渉の場で、ダイオキシンをなくすという目標に合意し、行動するよう、交渉その他の場を通じてグリーンピースは各国に働きかけて行く。