オーストラリア海上保安庁の情報によると、現在、MOXプルトニウム燃料を日本に運ぶためタスマン海と南太平洋を航行中の2隻の英国籍船(パシフィック・ティール号とパシフィック・ピンテール号)のどちらかの乗組員が負傷し、緊急医療を受けるために、8月28日午前9時、ヘリコプターでオーストラリアのパースに運ばれていたことがわかった。
この乗組員は、頭部を負傷しただけでなく首の骨を骨折しており、オーストラリアから本国イギリスに、すぐ移送されたという。

事故が起きた時の、船の正確な位置や、また、この緊急医療の手配に関して、日本、イギリス、フランス、そしてオーストラリア当局との間で何らかの合意があったのか等については明らかになっていない。
グリーンピースは、オーストラリア・ニュージーランド両政府に対し、事故に関する情報を公開するよう要請している。

「まさに “(輸送中に)事故が起きる” ことが証明された。だからこそ、危険にさらされる沿岸諸国との事前合意なしに行われているこの輸送は、許されない」とグリーンピース・インターナショナルのデーモン・モグレンは語った。

なお、本日(9月2日)午後、ニュージーランド議会は、圧倒的多数でMOXプルトニウム輸送に反対する決議を採択した。
決議では、沿岸国に対し何ら事前の通告もなしに輸送が行われ、また、非常に危険な輸送を補償するにはあまりにも不適切な責任体制をとっている日本、イギリス、フランスを非難している。
さらに決議では、ニュージーランド政府に対し、10月にパラオで行われる第30回南太平洋フォーラムに出席した折りには、輸送に対し強い懸念を表明しているオーストラリア政府ならびに南太平洋諸国とともに、より強い反対表明をするよう、求めている。

グリーンピースは、ニュージーランド政府に対し以下のことを求めている。

MOXプルトニウム輸送船がタスマン海および南太平洋を航行している間、監視を続けること

南太平洋フォーラムで、プルトニウムおよび核廃棄物の輸送船がタスマン海と南太平洋を通過することを今後一切認めない宣言を出すよう、リーダーシップをとること

* 現在までの情報では、負傷した乗組員はChief Security Officer(警備の責任者)である。