環境保護団体グリーンピース・フランスは、今週にも欧州から日本へ向けて輸送される武器転用可能なMOXプルトニウムの輸送に反対して、昨日シェルブール港で積載用のクレーン2基を占拠した。
グリーンピースは、仏、英、日本政府に対し、初めて行われるMOXプルトニウム輸送をただちに中止するよう要請している。
MOXプルトニウムの輸送とその背後にあるプルトニウム計画は、核不拡散への国際的努力、環境保護、人々の健康と安全を脅かしている。


11人のグリーンピース・フランスの活動家は、7月11日正午(フランス時間)に、シェルブールの商業港ミール埠頭にある2基のクレーンに「STOP PLUTONIUM(ストップ・プルトニウム)」と書かれた横断幕を掲げ、占拠した。クレーンは共に、MOXプルトニウムを運ぶ輸送コンテナTN-17を船に積載する作業の際に使用されるものである。

「仏、英、日本政府は、一般の人々にきちんと知識を与えることなく、秘密に “Dirty Business (汚れた商売) ” を行おうとしているが、グリーンピースはそれを行わせないようにする。重要なことは、この輸送が危険であり、不必要な計画であり、武器転用可能なプルトニウムの世界最大の悪徳商人によって支援されているものである」と
グリーンピース・フランスのジャン・ルック・ティエリー(Jean-Luc Thierry)は述べた。

2隻の輸送船(パシフィック・ティール号とパシフィック・ピンテール号)は、60個の核兵器を製造するのに十分なプルトニウムを搭載する。明らかな安全の危険性にかかわらず、輸送船は軍の護衛もない。
攻撃の対象となる可能性もあるが、どちらも十分な武装をしておらず、相互護衛という形をとっていく。

輸送の安全性の点からみると、2隻の船は、”惨事をおこす処方” と言わざるを得ない。
1隻は、約1/4トンのプルトニウムを運ぶだけでなく、7トンの可燃性の高い武器と1,100トンの燃料を積んでいる。
プルトニウムは、最も放射能の強い物質のひとつであることはよく知られている。ほこりの細粒より、さらに小さいプルトニウムの細粒を吸い込むと、致命的な肺ガンの原因になりやすい。
一旦環境中に放出されると、プルトニウムは数十万年も環境を汚染し続けてしまう。

日本は、エネルギー自給のため必要であると言いながら、論理的に計画を守ろうとしてきた。しかし日本は現在のところ、プルトニウムを利用した電力を生産していないことはよく知られている。そのかわり、日本はすでに国内に武器転用可能なプルトニウムを5トン以上もかかえている。

これから英国の再処理会社BNFL社やフランスの再処理会社コジェマ社と、さらに40トンにおよぶプルトニウム分離の契約が推し進められようとしている。2010年までに日本は約50トンものプルトニウムを国内に抱えることになる。
これは、米国核兵器工場にあるプルトニウムの約半分の量である。

武器転用可能なプルトニウムを蓄積するという日本の秘密計画は、東アジアの地域安全を脅かすだけでなく、国際的な核不拡散への努力を致命的に崩してしまうものである。
フランスと英国は、プルトニウムの大きな悪徳商売を互いに競争するより、再処理工場を閉鎖し、瀕死の産業を禁止すべきである。

現在グリーンピースの船2隻、レインボー・ウォーリア号(555トン)はシェルブール港に、グリーンピース号(905トン)はバロー港に停泊し、監視を続けている。
グリーンピースは、仏、英、日本政府が今週中旬にもプルトニウム輸送を行うための最後の準備を押し進めていると警告している。


* クレーンに登った活動家は、7月11日(日)午後11時(フランス時間)に、クレーンから撤退させられた。