予測通りに地球温暖化がすすむと、ここ30年間に世界中の珊瑚礁が海水の温度上昇により白化し死に絶える—国際環境保護団体グリーンピースは本日レポート「気候変動—珊瑚の白化と世界の珊瑚礁の未来」を発表した。

本レポートによれば、もし地球の温度がオーストラリアのCSIRO(Commonwealth Scientific and Industrial Research Organization:連邦科学と産業の調査機構)とドイツのマックスプランク研究所が予測した通りに上昇した場合、世界中で、珊瑚の白化の度合いと頻度が増加し、白化現象が加速する。珊瑚礁を取り囲む環境によっては2030年から2070年まで毎年おこる可能性がある。
両研究機関の気候予測モデルは国連の気候変動専門家パネルのIPCCによって各国の科学者が使用するよう勧められているものである。

珊瑚の白化は珊瑚が微少な藻類を失なうことが原因である。藻が珊瑚を色づけ、栄養類を供給している。
白化は海水の最高温度が上昇することにより起こる。ほとんどの場合、たった1度か2度の上昇で起こる。
白化現象は、海水の温度上昇により、20年間に6回繰返されてきた。1998年には最悪となり、事実上世界中の珊瑚礁の生態が影響を受けた。

本レポートでは世界最大の珊瑚礁である1,000キロにわたるグレートバリアリーフ(オーストラリア北西沖)が、予測された通りに地球温暖化がすすむと30年の間に死滅すると警告している。

15年間、珊瑚の白化現象の研究を続けているオウブ・ホー・ゴールドバーグ教授(シドニー大学・海洋生物学者)は
「珊瑚礁は、世界のほとんどの地域で2100年までに死滅する可能性がある。珊瑚の白化は、珊瑚の生態が現在の地球の温度上昇についていけていないことを示している。地球温暖化の最大の犠牲者かもしれない。
もし、地球温暖化を止めることができなければ、珊瑚は絶滅はしないまでも、珊瑚の健康状態と分布は、少なくとも500年の間、深刻な危機にさらされるだろう」
と述べている。

グリーンピースは地球温暖化を止めるためのエネルギー政策として段階的な化石燃料利用の廃止を訴えている。