子どものおもちゃに使われている軟質塩化ビニルから有害物質フタル酸エステル類が滲出する恐れがある。グリーンピース・ジャパンは98年2月から、この問題について消費者に警告し、キャンペーンを行ってきた。

この程(社)日本玩具協会は、
「まずフタル酸エステル類可塑剤を害のないものに代えていくため研究をしている」
「今年の終わりまでには代替できるだろう」
とする取り組みと見通しを表明した。
これは、週刊玩具通信に掲載された(社)日本玩具協会の1999年度第一回理事会(4/23)の記事の事実関係を、グリーンピース・ジャパンが(社)日本玩具協会に直接確認したもの、及び、6月5日21:00、NHK教育テレビで放送された「サイエンスアイ」の(社)日本玩具協会のコメントに基づく。

グリーンピース・ジャパンではこの一年余り、可塑剤のフタル酸エステル類の分析結果等をもとに厚生省や業界団体に、玩具への塩化ビニル使用廃止を要請し、市民団体、消費者団体とともに集会や、七夕に乳幼児をつれた母親の行進などを行ってきた。
今年の3月には東京おもちゃショー ’99会場のビッグサイトでグリーンピースは「大好き・おもちゃ やめよう! 塩ビ」という横断幕を掲げ、玩具産業界に対して早急な取り組みをもとめた。

今回の(社)日本玩具協会の表明は、玩具業界の塩化ビニル問題への対応の一歩としては評価できる。しかしながら、これは可塑剤フタル酸エステル類の代替であり、これは軟質塩化ビニル問題の一部に対処したに過ぎない。過去に米国でおきたように、新たな可塑剤の毒性が後に判明することもあり得る*し、その他の添加剤(ビスフェノールA、鉛化合物など)の問題も残る。
塩化ビニル自体が製造と焼却時にダイオキシンを発生する物質である。塩化ビニルの使用廃止を最終的に達成するべきである。

*:1986年に米国のメーカーは、フタル酸エステルのひとつDEHPが人の健康に有害であるという理由でその使用を止めた。代わって使用されたDINPの毒性(発がん性、内分泌撹乱作用など)が、今日警告されている。


すでに塩ビを一切使用しないことを決め、実行している企業、あるいは塩ビ不使用を目標として努力をしている企業は増えている。グリーンピースは、玩具産業も塩化ビニルの使用の早期廃止へ向けた努力を行うことを求める。

グリーンピースは去る4月16日にデンマークと米国から専門家を招聘し、玩具メーカーを対象にセミナーを行った。米国からの講師ジョエル・ティックナー氏の講演は塩化ビニル代替の可能性について情報提供したもので、グリーンピースは塩化ビニルからの代替を図ろうとする企業へ、今後も引き続き情報提供を行っていく。