環境保護団体グリーンピースは、ニューカレドニアのヌメアに停泊中の捕鯨船団(日新丸、第二共新丸、勇新丸、第一京丸、第25利丸)が、本日日本に向けて出港するところ、捕鯨母船日新丸とキャッチャーボート第一京丸の二隻に対し、抗議行動を行ないました。 抗議の目的は、調査という名目のもと、サンクチュアリ地域で捕鯨を行なわないことを、日本政府に保証させることです。

捕鯨船団は11月6日下関を出港し、南極海に向かっていたところ、11月19日南太平洋の仏領ニューカレドニアの西200カイリ付近において、クジラを解体する日新丸船内の工場甲板で火災が発生し、発電機などが停止、自力で航行できなくなった(共同.11.20)。
その後24日未明にほぼ鎮火状態となったが、同日、船内で45歳の甲板員が首をつって死亡しているのが見つかった(読売新聞.11.26)。
船団は、ヌメアで日新丸の応急修理をした後、本格的な船舶修理のため日本にいったん戻り、その後再び南氷洋に向け出港することにしていた。

1994年、国際捕鯨委員会(IWC)は、「南極周辺地域をクジラのサンクチュアリーとする」決議を可決しました。これまで数十年にわたって北半球の捕鯨国によって乱獲されてきた、南半球のクジラの個体数と生態系のバランスを回復させるための対策です。
しかし、日本政府は、IWCでの決議を唯一反対し、この国際的合意を無視し、調査捕鯨という名目でクジラの肉を市場に提供し続けています。そして「科学」の名のもとに、じわじわと捕獲頭数を増やし続け、商業捕鯨再開に向けた動きを拡大させています。

日本政府は、科学的調査のために南極のクジラを捕獲する必要があると主張していますが、毎年数十億円もの鯨肉が、市場で取り引きされています。昨年も調査捕鯨として捕獲された1,700トンの鯨肉が、約50億円以上で取り引きされました。
このような調査捕鯨を科学と呼ぶことは、科学への侮辱にほかなりません。

グリーンピースは、創立以来の理念にもとづいて、非暴力直接行動をとっています。今回の抗議行動に関しても、捕鯨船や乗員を傷つける目的はまったくなく、あくまでも、再び南極海へ繰り出すことを阻止する目的で行っています。

日新丸を核とする捕鯨船団のスタッフは、火災とそれに続く不幸な出来事ですでに心身の疲労は無視できないはずです。無理に再出航することは、さらなる不幸を招きかねない危険な行為となり、人命尊重の点からも、再出航に強く反対しています。