気候変動枠組み条約第4回締約国会議(ブエノスアイレス・11月1日~13日)を
終えてのグリーンピースの見解

地球温暖化防止京都会議から一年。各国政府は危険な気候変動を防止するため、真剣に対策に取り組んでいるのだろうか? …京都議定書に残った様々な不確定部分等を検討することを目的に、アルゼンチン・ブエノスアイレスで行われた条約の締約国会議が終了した。


グリーンピースは、国内経済の優先が気候変動問題問題の解決を妨げ、各国の環境大臣がそれを容認したことに、深い懸念を表明した。

「議論は、貿易と経済の交渉になり下がり、気候変動の問題は議題からずっと遠くに追いやられた。重要な科学的議論は、炭素の取引市場の議論にすりかえられてしまった」
とグリーンピース・インターナショナルの気候変動制作部長であるビル・ヘアーは述べた。

「気候を守るために現在の削減のコミットメントは充分か否か、という条約のまさしく核となる問題の検討を念頭に入れた議論は、成されなかった。この極めて重要な事柄に関して、何の決定も下されなかった。我々は非常に深い懸念を持たざるを得ない」

二週間に及ぶ日夜の交渉の結果出てきた合意と言えば、次の行動への最も基本的な行動計画のみであった。

「この交渉は一貫して “本質とは関係のない言葉で出来た厚い霧” に覆われていた。この “霧” は真の問題を覆い隠し、結局は温室効果ガスの排出を増加させる。
国内対策が優先されるべきである。化石燃料への投資の拡大、汚染を産む企業への投資の継続、こういったことこそ政府がただちに対策を取る事が可能な問題だ」

今回合意された、今後の交渉のタイムテーブルで重要かつ争点となるものとして以下を挙げる。

市場メカニズム(いわゆる柔軟性メカニズ—-排出量取引、共同実施、そしてクリーン開発メカニズム)の方法と導入の時期。これは、二年後に行われるCOP6で話し合われ、合意される予定。

途上国に対する、資金移転と技術移転を加速させる方法における前進。

温暖化の影響に対してもっとも脆弱な国々の適応に対する基金についての合意。これは、OPECの国々が主張している、もし彼らの経済が影響を受けた場合の補償を求める主張と関連している。

交渉の大きな前進となるかもしれない合意の一つは、遵守に関するものである。
京都議定書のもとで、締約国が排出削減約束を守ることを確実にする法制度と遵守できなかった場合の罰則の導入について検討することが、合意された。これは、議定書が真に削減に効力を持つかどうかを決定づけるであろう。

この他、微少であるが前進した事項:

HFC類(代替フロン)について
HFC類の使用からの排出を抑制するための方法についての情報を集める場としてのワークショップを開催することが、同意された。 HFC類は、もともと、オゾン層破壊物質の代替として登場したが、京都議定書において規制の対象ガスとなった。いまでは、締約国の間で、HFC類がオゾン層破壊物質の代替として適当ではないという認識が存在している。今回、ワークショップの開催が約束されたのも、そういった認識のあらわれである。
この強力な温室効果ガスであるHFC類の排出は現在、急増している。代表的なHFC類のHFC134aは、二酸化炭素の1300倍から3300倍もの温室効果を持っている。なお、PFC類についても同じ枠組みで検討される予定である。

吸収源 2000年にIPCCによる特別報告書が完成し、締約国によって検討されるまで、植林による相殺(オフセット)の順延。IPCCの特別報告書は、京都議定書の履行における吸収源の役割にまつわる、科学的そして技術的な問題について検討する。