グレートバリアリーフで、珊瑚の白化現象を現地調査している環境保護団体グリーンピースは、第一次中間報告を発表した。

今年3月、クイーンズランド州グラッドストーン沖、ヘロン島で珊瑚の80%の白化現象が確認され、グリーンピースは4月にサザンクロス大学の研究者を、現地調査に派遣している。中間報告によれば、ヘロン島では、先月から続いている海面近くの水温の上昇によって白化した珊瑚のうち、20%が死滅している可能性があると判明した。
グレートバリアリーフ海洋公園当局(Great Barrier Reef Marine Park Authority-GBR MPA)は、今年のこの地域の白化現象は、「史上最も深刻かつ広範囲」であると述べている。

海水温が上昇を続けた場合、珊瑚は、その影響が現れる最初の生物の一つにならざるを得ない。珊瑚の細胞内に共生する微小な藻(zooxanthellae)が温度変化に弱いためである。
珊瑚の色と食べ物の大部分はこの藻類が供給するため、藻を失うと、珊瑚は色が抜けるだけでなく、食べ物もなくなり、岩状の骨格を構築することができず、珊瑚礁の成長が止まる。珊瑚の白化現象は、自然状態でも時折発生し、汚水その他の汚染物質との長期間の接触など、他のストレスも白化を引き起こすことがあるものの、珊瑚が突発的な温度変化に弱いことは、すでに判明している。

調査チームのリーダー、ピーター・ハリソン博士は中間報告で、ヘロン島周辺の珊瑚の10%から40%がそのまま白化した状態で残っており、そのうち10%から20%は、ここ一ヶ月で死滅したとみられる、と述べている。今後白化した状態のままの珊瑚がどうなっていくかについては現在のところ不明だが、いくらか再生する可能性は残っている。

ヘロン島では、今年、グレートバリアリーフの他の場所と同様、海水温の上昇のため、白化現象が起きている。ヘロン島で集められたデータは、珊瑚が白化現象を起こす前に、海水温が通常より4度高い35度に達したことを示している。

温室効果ガスの増加により、地球規模での気温が上昇すればするほど、珊瑚の白化現象によって死滅する珊瑚が増えていくことになる。自然世界の七不思議のひとつともいわれ、世界遺産にも登録されているグレートバリアリーフの損傷は、単にオーストラリアだけの問題ではない。
二酸化炭素など温室効果ガスの削減と化石燃料の段階的廃止のために、すべての人々が今すぐ行動をおこさなければならない。