チェルノブイリ原発事故から12年が過ぎた。しかし日本政府はこの事故を教訓にしてきたとはとてもいえない。状況は当時よりもむしろ悪くなっている。

1995年12月に起こった高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ火災事故、過去最悪のレベル3の認定を受けた1997年の東海再処理工場火災事故や、欧米の高速増殖炉からの相次ぐ撤退は、日本が30年も前から固執する核燃料サイクルが、現実にはつながらないシステムであることを証明した。

使用済み核燃料をわざわざ再処理してプルトニウムを抽出することの理由を失った日本政府はプルサーマル(MOX)計画を打ち出した。これはウランと、プルトニウムを混ぜて普通の軽水炉で燃やすというものである。
政府はMOX燃料の来年からの運転を計画している。しかし、軽水炉はMOXを燃やすためには設計されておらず、高い熱と中性子線を出すプルトニウムの燃焼で、原子炉の部品の損傷スピードが早まったり、制御棒がききにくくなるという危険な事態が予想される。

再処理工場について言えば、日本は現在、再処理を海外に委託しているが、その委託先である英国の再処理工場周辺の鳩が、放射性廃棄物に匹敵するほど汚染されていることを今年グリーンピースが暴露した。またこの再処理工場周辺で小児白血病が多発していることも以前から指摘されている。さらに、フランスのラ・アーグ再処理工場の排水管からは通常の1700万倍の放射能が確認されている。
これらの再処理工場による放射能汚染には、再処理を委託している日本が道義的責任を有しているのは明らかである。そのうえ、再処理過程で生み出される高レベル放射性廃棄物の日本における処理方法もいまだに定まっていない。
このような再処理は英仏への委託であれ日本の国内であれ、ただちに中止されるべきである。

日本政府は地球温暖化問題に対処する切り札として原子力発電所の20基増設計画を打ち出している。しかしこれは事故の危険性と核廃棄物の問題を増幅させるだけである。
そのようなことのためにさらに新たな補助金を設けようとしているが、それよりも太陽光や風力のような未来への希望に投資をするべきである。

これらの事実からみると、グリーンピースは、日本政府に核燃料サイクル計画を一刻も早く中止し、すみやかに原子力発電から再生可能エネルギーを中心とするエネルギー政策に転換することを求める。

1998年4月26日
グリーンピース・ジャパン