オーストラリアのサザンクロス大学とともにグレートバリアリーフの珊瑚礁の調査を行っている国際環境保護団体グリーンピースは、今年の高温と大雨のため、グレートバリアリーフの珊瑚の白化現象が、ここ数十年で最悪の事態となっていると発表した。

珊瑚の白化現象とは、ストレスを受けた珊瑚が白色に変化、あるいは漂白状態になり、個々の珊瑚を弱らせ、広範囲に広がる珊瑚礁群を壊滅させてしまう。
オーストラリア海洋科学研究所のテリー・ドーン博士によれば、珊瑚の白化現象を止めないまでも自然の状態を残すために、気候変動を止めなければならない。

グレートバリアにおける珊瑚の白化現象は、南はブンダバーグから北はクックタウンまで、1,000kmにおよぶ広範囲に広がっている。場所によっては、80%もの珊瑚が白化現象をおこしている。
今年の珊瑚の白化現象は、地球規模でおきており、東アフリカ、西オーストラリア、サモア、南アメリカ沖のカラパゴス島でも確認されている。

自然世界の七不思議のひとつともいわれ、世界遺産にも登録されているグレートバリアリーフの損傷は、単にオーストラリアだけの問題ではない。二酸化炭素など温室効果ガスの削減と化石燃料の段階的廃止のために、すべての人々が今すぐ行動をおこさなければならない。


参 考:

珊瑚の白化現象と海面上昇海面温度が上昇を続けた場合、珊瑚は、その影響が現れる最初の生物の一つにならざるを得ない。珊瑚の細胞内に共生する微小な褐色藻が温度変化に弱いためである。
珊瑚の色と食べ物の大部分はこの藻類が供給するため、藻を失うと、珊瑚は色が抜けるだけでなく、食べ物もなくなり、岩状の骨格を構築することができず、珊瑚礁の成長が止まる。

珊瑚の白化現象は、自然状態でも時折発生し、汚水その他の汚染物質との長期間の接触など、他のストレスも白化を引き起こすことがあるものの、珊瑚が突発的な温度変化に弱いことは、すでに判明している。珊瑚にとって最適な水温の上昇は、28度である。
水温が2~3度上回っただけでも、共生藻は珊瑚から吐き出されてしまう。