2月6日(金)午前4時30分(パナマ時間)、グリーンピースの活動家三名(ベルギー、スイス、チリ)は、現地でチャーターした船から、パナマ運河にゆっくり近づいている高レベル放射性廃棄物船“パシフィック・スワン号”に乗り込み、横断幕を掲げた。乗船の目的は、船のパナマ通航を妨げるものではなく、高レベル放射性廃棄物輸送への抗議である。
英国船籍の同船は、先月21日フランスを出航し、六ヶ所村に向かっている。三回目の輸送となる今回、すでにドミニカ共和国、ジャマイカ、バハマ、プエルトリコなど周辺諸国の政府から反対の声明などが出されており、抗議の中、初めてのパナマ運河通過となる。

グリーンピースのこの抗議行動は平和的なもので、パナマ政府やパナマ運河委員会に対するのでなく、核廃棄物輸送に対するものである。日本、英、仏の原子力産業は、核廃棄物の排出に、また米国政府は、パナマ運河と中央アメリカの環境に脅威を与える危険の貨物の通行を許可したことに、重大な責任がある。

第三回目の輸送もまた、秘密裏に行われている。輸送主体である電気事業連合は、出港日と輸送船名については出港の二日前に、ルートについては出港後に「パナマ運河を通る」と発表したのみで、どの国の、どの辺をいつ通るのかなどは一切秘密のまま。

グリーンピースは、沿岸国への事前告知と協議を求めて来たが、ついに事前告知のないまま、2月2日にはドミニカ共和国とプエルトリコの経済水域を突っ切った。グリーンピース・ジャパンでは同日、電気事業連合会、日本原燃、日本政府へ抗議文を送り、特に電気事業連合会と日本政府に対しては、海外からの輸送を余儀なくさせている再処理契約を今後一切結ばないことを要求した。