グリーンピースの調べで東カリブ諸国連合(OECS:Organization of Eastern Caribbean States)が1月15日、高レベル放射性廃棄物の輸送を「最も危険な行為」であるとして「直ちに中止すべきである」という声明を出していたことが明らかになった。
また、より大きな枠組みであるカリブ共同体(CARICOM)もグリーンピースの問い合わせに対して「反対の立場はこれまでと同様今回も変わらない」と答えた。アンティグア・バーブーダは1月20日に独自に出した声明の中で「安全性と安全保障上の手続きの見直しとカリブ地域の通過する国々に十分な協議を求め」ている。

1月2日にドミニカ共和国、1月15日にアメリカ領ヴァージン諸島につづき、これでセントルシア、アンティグア・バーブーダ、セントビンセント・グレナディン諸島の5つの地域・国が反対を明らかにしたことになる。「反対の立場は変わらない」と明言したカリブ共同体を加えるとパナマルート周辺国のほとんどが、輸送の中止を要求していることになる。地元NGOによる抗議行動も活発化している。

パナマ運河を通る場合、いくつか国の領海・経済水域を避けることは不可能で、国連海洋法条約上の問題が生じるだろう。パナマルートは最短距離であり、それだけコストの安いルートである。日本原燃と日本の電力各社はこれからも続く核物質の輸送を考え、一番安いルートを突っ切るという既成事実を作りたいのである。

高レベル放射性廃棄物船「パシフィック・スワン」の監視を続けていたグリーンピースによれば現地時間の3時15分頃、フランスのシェルブール港を出港した。過去の航行から推測すると、日本時間の22日にはスペイン北西沖、ポルトガル沖を通り、月末にはカリブ海に入る。