グリーンピースは本日、フランス政府内部のメモの内容を明らかにした。
そのメモによれば、フランスから日本に返還される高レベル放射性廃棄物は初めて、ルートの中で最短距離のパナマ運河を航行するという。今回の輸送はこれまでで最大のものとなる。

* パナマ運河を通る航路は、スペインとポルトガルの沖、カリブ海の中心を通り、ハワイ、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦とグアムの近くをぬけるものである。
添付資料:[ドミニカ共和国外務省プレス声明]


グリーンピースが入手したメモによれば、核廃棄物輸送船は「パシフィック・スワン」で、1月23日に出港し、パナマ運河を通るという。「パシフィック・スワン」は1979年に建設された英国船籍の船で1993年を最後に使用されていなかった。
今回、高レベル放射性廃棄物の容器60本を積んで3月中旬に青森の六ヶ所村のむつ小川原港に入港する。

グリーンピースは、
「輸送航路周辺の人々を危険な輸送の脅威にさらしているのは原子力産業である。環境保護の観点からも安全保障の観点からもこの輸送は中止させるべきである」と主張し、
この種の輸送を自国の領海から規制しようとする航路周辺国の取り組みを支持している。(ドミニカ共和国プレス声明参照)

核物質を積んだ船舶事故の恐ろしさは1997年12月に北大西洋でまっぷたつに裂けたMSCカーラ号の事件(セシウムカプセルを積んでいた)からも明らかである。
カーラ号はフランスからボストンへ航行していた。グリーンピースはフランス・米国両政府にこの事件の調査を要請している。

グリーンピースと核管理研究所(ワシントン)が共同で発表した報告書によれば、海上火災がおこったり、船が沈没した場合、環境や人々の健康が損なわれる危険がある。特に漁業や観光業に甚大な被害が生じる。
また、特にパナマ運河のような狭い運河では妨害工作なども行われやすくなる。

カリブ海諸国や太平洋の国々は、これまでも、英・仏・日の三国に自国の近辺を航行しないよう求めている。
1998年1月2日、ドミニカ共和国はあらためてこの輸送船が近くを航行しないよう要請する旨を示したプレス声明を発表している。

フランス政府の内部メモはまた、米国内務省はこの輸送についてすでに告知されていることを示している。
パナマ運河は、パナマ運河委員会と米国政府の機関によって運営されているので、米国政府はパナマ運河の航行を中止させる力を持っている。
グリーンピースは米国政府に対して、かつて、米国政府がプルトニウム輸送船のパナマ運河の航行を中止させたように、今回もそうした措置をとるよう求めている。
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ドミニカ共和国外務省プレス声明


ドミニカ共和国
外務大臣
1998年1月2日


外務省は以下を告知する。
本日の、核廃棄物運搬船のモナ海峡航行についての報道に関して、ドミニカ共和国政府はさまざまな国際機構などにおいて、天然資源と環境の保護のため、取り組んでいくことを再度宣言した。

1996年の12月、カリブ諸国連合第2回閣僚級会議の間、ドミニカ共和国はカリブ海における核廃棄物輸送についての宣言に署名した。そこでは以下のように述べられている。
このような「船は、輸送される物質が持つ固有の危険性、また、カリブ海が自然災害の影響を大変受けやすいこともあり、我が国人民にとって脅威である」

その会議には25か国の全メンバー国のうちの24か国とアソシエイト・メンバーとしてフランス、ロー・カントリーズ、そして14の国際組織が参加した。

後に、特に国連総会第52回の最中、外務大臣のエドゥアルド・ラトッレがそこでの演説でこの重要な問題についてのドミニカ共和国政府の憂慮を表明した。
「現在、さまざまな国際会議や国際機構の場で核エネルギーの使用について論争中である。国際的合意の一つでは核廃棄物の海上輸送による環境と公衆に与えうる損害を規制している。
ドミニカ共和国はその大きな部分を(陽光の海の)観光業に負っている。海の水質は開発部門にとって決定的に重要であり、いかなる損害も、たとえ故意でないものであっても、核物質はこの重要な国家の経済部門に相当な打撃を被らせる可能性がある。
我々は、必要な防護策を講じることを国際社会の良心に訴えます」
最後に、外務省は、この輸送に関わっていると言われている国々に、もし、報道が本当なら、ドミニカ共和国の海岸近くは航行しないように、要請する作業を始めている。


以上、グリーンピース・インターナショナルによる非公式英訳を
グリーンピース・ジャパンで日本語訳した文書。