核実験全面禁止条約の早期発効を

1996年9月10日、グリーンピースの悲願であった核実験全面禁止条約(CTBT)が国連総会で採択された。これは何十回、何百回、何千回と核実験を繰り返し被爆者を生んだ大国に対する民衆の勝利であった。
核爆発が禁止されて初めてのヒロシマ・ナガサキデーであることをまず喜び、核爆発を永久にさせないことを誓いたい。そのためにCTBTの未批准国には批准を求め、条約の早期発効を訴える。


未臨界核実験を許さない

しかし、それから1年もたたない1997年7月2日、アメリカ合衆国は1.5kgのプルトニウムを使って未臨界核実験を強行した。実験の目的は「備蓄兵器の安全性・信頼性の維持」というがこれは「核兵器の廃絶という究極的目標のもとに」(CTBT前文)合意された条約への冒涜だ。
日本政府は未臨界核実験を条約で「禁止されていない」とこれを擁護した。これでまた条約批准を拒否している国々に言い訳を与えてしまった。
これはヒロシマ・ナガサキを経験した国として恥ずべき行為であり、強く糾弾する。


広がっているプルトニウム汚染

日本でも、プルトニウムは「もんじゅ」をはじめ全国の原子力発電所で生み出されており、現在も使用済核燃料がイギリス・フランスの再処理工場に送られ抽出されている。

8月2日付けの英科学誌「ニュー・サイエンティスト」は、イギリスの核燃料再処理工場周辺の子供の歯からプルトニウムが検出されたと報じた。フランスの再処理工場周辺では地元の魚介類を食べた子供が白血病になる危険性は通常の3倍という研究結果が発表されている。

ヒロシマ・ナガサキから52年たった今、今度は日本のプルトニウムがイギリス・フランスの子供を犯している。被爆国日本は今加害者としてプルトニウム汚染を広げている。


「核物質生産禁止条約」で、すべての核に終焉を

52年たっても「まだ、ヒロシマ・ナガサキの苦しみは終わらないのか」という声が世界中から聞こえてくる。この悲劇を終わりにする道は、この地球から核を葬り去る以外にない。
解体された核兵器から、原子力発電所から、次々に出される「核」を人類は永遠に厳重に管理し封じ込めなければいけない。核兵器用、発電用にかかわらず、プルトニウムの生産を一刻も早く止めるべきだ。

次のステップである「核物質生産禁止条約」を実現するため、グリーンピース・ジャパンは努力し続けることを、我々に「核とは何か」を教えてくれたヒロシマ・ナガサキに対して誓いたい。

1997年8月5日
グリーンピース・ジャパン