環境保護団体グリーンピース・ジャパンは、太陽光発電に関する世論調査を今年1月、日本リサーチセンターに依頼し、二千人を対象に実施した。同調査は、再生可能エネルギーとしての太陽光発電の普及の可能性を探るため行われた。
NGOによる太陽光発電に関する世論調査は、今回が初めて。調査結果の概要などは以下の通り。
添付資料:[太陽光発電に関する世論調査結果・サマリー]


家の構造の条件や費用などの条件を度外視して、希望する電気の供給源をたずねたところ、太陽光発電を選んだ人が74%にものぼった(世論調査、問1より)。
その理由として「電気代を節約できる」55%、「クリーンなイメージだから」42.3%と、太陽光発電がクリーンで環境にやさしい発電方法として広範囲の人に認知されていることを示している(問4)。
なお、実際に「利用したい」という答えは、「どちらかといえば利用したい」を含めても67%という結果だった(問3)。

「利用したくない」理由としては、「設置時に払うお金が高い」が36.4%と三分の一を占めた(問5)。
さらに、太陽光発電システムの設置に関して望ましい費用をたずねたところ、100万円から50万円が39.5%、50万円から10万円が26.6%、10万円未満が3.9%だった(問8)。

*1:産業技術審議会:エネルギー・環境技術開発部会評価委員会






*2:1994年12月の総合エネルギー対策推進閣僚会議による決議
1996年7月の通産省の産業技術審議会*1 が発表した「太陽光発電技術開発に関する中間評価」でも、60万から90万円の範囲が価格目標と考えられているが、この調査ではその層が40%近くを占めており、太陽光発電システム設置費用をこの価格帯に設定できれば、需要の大幅増に結びつくことを示している。
この約40%の人々がソーラーシステムを導入したとすれば、太陽光による発電量は5,900万kwに相当する。100万円でも、16.7%が設置するという結果がでており、これを発電量に換算すると2,500万kwとなり、「新エネルギー導入大綱」*2 が掲げている「2000年に40万kw、2010年に460万kw」がいかに低い目標であるかがわかる。

一方で、太陽光発電に関する情報が十分かという質問に、「どちらかといえば足りない」も含め「足りない」と答えた人は95%にものぼった(問10)。これは、政府や企業による太陽光発電についての情報伝達が極めて少ないことを表している。
太陽光発電に関する情報がより多くかつ正確に、一般市民に十分行きわたれば、そこにはすでに巨大な市場が存在しており、太陽光発電システムの普及が一気に加速することを示している。

多くの市民が太陽光発電のような再生可能エネルギーの選択ができれば、地球温暖化の対策につながる。
今年12月には、京都で国連気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)が開催され、2000年以降の二酸化炭素を含む温室効果ガスの排出削減について法的拘束力をもった数値目標を含む議定書が採択される予定である。
今後は、より一層の省エネルギー政策、効率のよいエネルギー利用、温室効果の原因のほぼ半分に相当する石炭・石油など化石燃料に代わる、太陽光など再生可能エネルギーの積極的利用が不可欠である。
増加し続ける温室効果ガスの排出によって引き起こされる地球規模の人為的気候変動は、深刻かつ緊急な問題で、一刻も早い対策が必要である。

この世論調査から、太陽光発電に興味を示している人は、「新エネルギー導入大綱」よりはるかに多いことが明らかとなった。グリーンピース・ジャパンは、この結果を受け、COP3へ向けて、[ソーラー・キャンペーン(仮称)]を展開する。このキャンペーンは、一般市民に太陽光発電に関する情報を提供し、太陽光発電システムの実用性を様々な形で示していく。


● 太陽光発電に関する世論調査結果
A4・26p・1,000円(送料含)
→ サマリーをこちらでご覧いただけます

申込先:グリーンピース・ジャパン
Tel.03-5351-5400/Fax. 03-5338-9817
(必ずお電話またはファックスでお願いします)


この件に関する記者会見は4月24日午後3時、
経団連会館内のエネルギー記者会で行ないました