国際環境保護団体グリーンピースは、本日、IAEAのハンス・ブリック事務局長にあてて「プルトニウム空輸に反対する国会議員署名」を送付した。9月9日から開かれているIAEA理事会での「放射性物質安全輸送規則改正案」採択に異議を表明するため、9月6日から署名を募っており、本日までに11人が署名している。

「改正案」には、プルトニウムの空輸容器の基準が新たに含まれている。これはヨーロッパでのプルトニウム輸送のために英仏が求めていたものだが、ICAO(国際民間航空機関/国連)やIATA(国際航空運送協会)などの国際機関は問題点を指摘してきた。
しかし、日本ではこの内容の公開も、国会での議論も行われず、科学技術庁が賛成票を投じることを決定した。

改正案で示される容器の試験条件は、秒速90m(時速324km)での衝撃実験、セ氏800度60分間の火災試験、深さ200mの水中での浸漬試験で耐えうることとなっている。科学技術庁は「(基準改定は)技術的には妥当」と述べたと報道されているが、この試験条件は航空機のボイスレコーダーを収納するブラックボックスの基準よりはるかに甘い。しかも、これまでの飛行機事故の50%の墜落の衝撃はこの基準を超えている。
また、日本にもっとも関係すると思われるMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料)の空輸については従来の試験条件のまま従来の容器で運んでよいという内容になっている。

グリーンピースでは、ハンス・ブリックスIAEA事務局長あてに,新基準の根拠としたデータを公開し、広く国際的で科学的な議論を経た上でこの問題を判断し直すべきであり、今回の改正案の採択の中止を求めるとした日本の衆参両国会議員11人の名前を明記した署名をFAXで送信した。

署名した議員は以下の通り(五十音順)

今村修
宇佐美登
岡崎宏美
金田誠一
栗原君子
小森龍邦
竹村泰子
田中甲
田英夫
谷田部理
山口哲夫