あなたが環境問題に関心を持ったきっかけは何ですか? 学校やニュース、SNSなどいろいろあると思いますが、映画も環境問題の知識を深めるきっかけになります。7/10にも、「セ・ポシブル〜できる」というサステナブルな社会のあり方を模索する素敵な映画上映会を開催します。楽しみながら学べる機会をお見逃しなく!

今日は、6月13日に開催したドキュメンタリー映画『POWER TO THE PEOPLE』のオンライン上映会の模様をご紹介しつつ、イベントを通してどんな学びがあったのかお伝えします。

パワー・トゥ・ザ・ピープル〜人々にパワーを! 新しい社会の可能性

6月13日、午前10時から開始したオンライン上映会には、福岡や宮城など幅広い地域から多くの参加者が集まりました。映画はひとりで観ても楽しめますが、同じ時間に同じ作品を観て感想を共有することで、新たな気づきを得ることもできます。この上映会では、映画を視聴した後に少人数での対話の時間を設けていました。

映画『POWER TO THE PEOPLE』の舞台は、オランダとデンマーク。それぞれの場所で、自然エネルギー普及に取り組む活動家や市民の姿を紹介しています。利益優先で、地域の実情に配慮しないグローバルな多国籍企業や大手の電力会社に、自分たちのエネルギー、すなわち生活基盤の根幹を預けてしまうのではなく、自分たちの生活基盤を自分たちの手に取り戻そう! 自分たちのコミュニティは自分たちで守る、それが持続可能な社会であり本当の幸せを生み出してくれるものなんだ。そんな信念とムーブメントの一端が描き出された映画でした。

各個人が家庭で発電したり、エネルギー協同組合を設立したりする、互いに顔の見える小さな社会には、地域の発展を真剣に考え、コミュニティを守りながら発展しようとする新しい社会の可能性が感じられました。

太陽光や風力など自然の恵みをありがたく利用するだけでなく、周囲の人と集い、話し合いを重ねてコミュニティを形成していくさまは、効率ばかりを求める現代社会が失ってしまった、本当の豊かさに満ちています。この映画が示しているのは、私たちがこれから目指す社会のあるべき姿なのかもしれません。

気候変動と人口減少の両方に取り組むカギは、自然エネルギー

映画上映の後は、グリーンピース・ジャパンの気候・エネルギー担当の鈴木かずえとNPO法人 上田市民エネルギー理事長の藤川まゆみさんによるトークセッションが行われました。

「泣きそうになった」と感激の様子の藤川さんから、まずは映画の感想を。「信頼と協力でつながり、みんなで力を合わせてるんですよね。心配する意見があっても議論して決めていくし、私もそれを繰り返していきたいと思いました」と、自身の活動に重ね合わせながら映画を観たようです。

藤川さんが理事長を務める上田市民エネルギーは、長野県上田市で、「市民が参加する自然エネルギー」をカギに、持続可能な地域づくりを目指す活動などを実践しています。

一方、鈴木は、注目を集めている斉藤幸平さんの著書『人新世の「資本論」』を例に挙げつつ、「資本主義じゃなくてどうすればいいの? という疑問への答えは、この映画にありました。資本主義と社会主義のいいとこどり、というのがすごくいい」と、社会のあり方のヒントを得たようです。

この映画で描き出されているような信頼に基づく地域共同体や持続可能な社会のあり方は、日本では無理だ、難しい、そんな声も聞こえてきます。本当に不可能でしょうか?

実は、日本でもこうした動きはすでに、始まっています。

そのひとつが藤川さんが取り組んできた上田市民エネルギーのような、地域に根ざした市民電力の誕生です。

もともとエネルギー問題に関心を持っていた藤川さんですが、311の東日本大震災をきっかけに誰かが解決してくれると期待していた自分を自覚し、自ら行動を起こしていきました。

そして2011年11月に手掛けた事業が、市民による共同発電所「相乗りくん」です。「相乗りくん」は、太陽光パネルを置く屋根オーナーと、太陽光パネルの初期費用を出すパネルオーナーを募り、電力と売電収入をシェアする試みです。既に55カ所に太陽光パネルが設置されているそうです。

気候変動と人口減少という大きな問題解決のために、エネルギーがポイントになると考えている藤川さん。「上田市内から、250億円というお金がエネルギー代として市外に出ているんです」と。つまり、大手の電力会社に頼らず、断熱などの工夫で省エネし、自然エネルギーなど地産地消のエネルギーで電力を賄うことができれば、その支出は自分たちのコミュニティ内で消費することが可能になります。

気候変動と人口減少は、一見異なる分野の問題です。けれども、「そのような垣根を越える活動ができるのが市民運動だ」と藤川さんは力強く訴えました。

気候変動のために、誰にでも、地方でも、できるアクション

続いて鈴木が紹介したのは、グリーンピース ・ジャパンに事務局を置き、たくさんの市民の皆さんが活動をしている「ゼロエミッションを実現する会」です。

鈴木曰く、「これは、自分の自治体からゼロエミッションを実現してもらうためのプラットフォームです。各自治体の温暖化対策を知って、もっと取り組みに力を入れてくれるように要請するのが活動の柱です」

藤川さんも「ゼロエミッションを実現する会」のメンバーのひとり。「国や行政が変わらないと社会は変わらないし、それを後押しするのが市民なんです。長野県が2030年までに削減する二酸化炭素の目標を、当初の48%から60%にすると決めました。これを後押ししたのがゼロエミッションを求める市民の声なんです」と話す声にも力がこもります。

すでに日本でも、市民の力による成果が生まれているのです。

「国は、2050年までにゼロエミッションを実現すると決めましたが、まだ動いていない自治体もあります。自治体を動かすことは、二酸化炭素を削減していることと同じです」という鈴木の言葉は、気候変動という地球規模の問題に対して何ができるか悩んでいる人たちへの、ひとつの回答になっているのではないでしょうか。

つながりから生まれる新しいパワー・トゥー・ザ・ピープル!

トークセッションの後は、少人数に分かれ、意見交換が行われました。わたしが参加したグループでは、身近に気候変動に関心のある人がみつからないといった意見に共感する人が多くいました。

アクションと言っても、なかなか一人ではハードルが高いと感じるかもしれません。だからこそ、つながることが大切ではないでしょうか。

このようなオンラインのイベントに、同じ話題や気持ちを共有できる貴重な機会として参加することもできれば、「ゼロエミッションを実現する会」や地域の市民グループという枠組みに参加し、多くの人と力を合わせていくということもできるでしょう。

地域でつながり、市民と行政と企業とが、横糸と縦糸を織りなすように地域で協力し合えれば、物事は大きく動いていくはずです。まずは目の前にある、つながるというアクションから始めてみませんか?

7月10日には、ドキュメンタリー映画『できるーセ・ポシブル』の上映会が行われます。これは、フランス人カップルが8カ月に渡って日本を旅し、持続可能な暮らしをしている人たちと出会うドキュメンタリー。日本にこんな暮らしを実践している人がいるのか、という驚きと発見に満ちた映画です。日本でも広がりつつある持続可能な新しい社会のあり方が、ここでも示されます。ぜひご参加ください。

※映画の権利の関係上、参加出来るのは日本国内在住者のみです。

※ 領収書はPeaitxでの申込後の「お申込み詳細」のメールの本文中の「領収データ」をクリックすると領収書が表示されます。
※ コンビニATM支払いは受け付けておりません。
※ お客様都合による当日キャンセルは受付けておりません。


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▼トークゲスト
・儀同千弥(ぎどう ちひろ) 
国際際環境NGOグリーンピース・ジャパン
コミュニティビルディング担当
ボランティア時代にイベント企画運営を経験したことをきっかけに、よりたくさんの人々に気候危機などの課題を知って欲しいと思い、2018年2月よりボランティアコーディネーターとして働き始める。その後2年間、環境・エネルギー系ベンチャー企業の広報と並行して勤務。2020年2月よりコミュニティビルディングオフィサーとして、ボランティアだけでなく大学生コミュニティを中心とした協力団体とのコラボ企画などを担当。


・浦野真理
(うらの まこと)
URL ユニバーサルリサーチラボ 代表
AI開発ベンチャー企業で研究職に従事しつつ、その傍ら2016年にURL(ユニバーサルリサーチラボ)を立ち上げる。環境問題、ポスト資本主義、北欧社会などをテーマとした読書会やワークショップ、ドキュメンタリー自主上映会等を主催。「世界スケール」「未来志向」にこだわり、対話の場をつくり続けている。

▼主催 GRID CINEMA/URL(ユニバーサルリサーチラボ)

GRID CINEMA

オンラインで映画を観る—今までとは違う視点で鑑賞するというのはどうでしょうか?テーマを深掘りするゲストをお呼びしてトークを交えたトークセッションも開催。新鮮な価値観に触れ、その場で語り合う仲間に出逢う場です。

URL(ユニバーサルリサーチラボ)
世界の様々なテーマについてオープンに語り合う対話型の学びのグループです。2016年に始動。書籍、映画、WEB情報、そしてメンバーの経験など「あらゆる知識が教材である」をモットーに、読書会やワークショップ、ドキュメンタリーの上映会などを開催しています。
https://www.facebook.com/groups/578772572304054/

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