虹が描かれたグリーンピースの旗がはためいている

G7に向けた提言を行う市民社会によって組織されるCivil Society7(通称C7)。この度開催されたC7の国際会議「C7サミット」にグリーンピースのメンバーが登壇しましたのでご報告します。

▼この記事を読むとわかること

> C7とは?
> C7サミットにグリーンピースメンバーが登壇しました
> 「正義、平等、多様性&インクルージョンとSOGIESC」
> C7サミットに参加したグリーンピースのメンバーより

C7とは?

2023年5月19日から21日まで広島で開催されるG7には、「エンゲージメントグループ」と呼ばれる、独立したステークホルダーにより形成されたグループが存在します。このエンゲージメントグループで、G7で議論される関心分野について、G7の成果文書に影響を与えるべく、政策対話や提言が行われています。

Civil Society 7(以下C7)」は、このG7の公式エンゲージメントグループの1つで、グローバル課題に関してG7と対話するための市民社会組織のネットワークです。

Civil Society 7のロゴ

毎年、議長国の市民社会が中心となって、G7国のみならず、G20諸国や開発途上国等の市民社会と協働しながら提言をまとめ、G7に向けて発信しています。

今年は、C7の分野別ワーキンググループの1つ「しなやかで開かれた社会WG(ワーキンググループ)」のコーディネーターを、グリーンピース・ジャパンからシニア・キャンペーン渉外担当の小池宏隆が務めています。

【しなやかで開かれた社会WG】

報道や言論の自由の制限拡大や、平和的な集会に対する暴力的抑制、人権・環境養護者に対するハラスメントや暴力など、年々「縮小する市民社会スペース」の課題は悪化しており、G7各国内も例外ではありません。さらに、政治的腐敗・汚職の問題や、多様な「性的指向・性自認・性表現・身体的な性」(SOGIESC)にマイノリティ性を持つ方への差別も続いています。このワーキンググループでは、しなやか(レジリエント)で開かれた社会をG7内外で達成すべく政策提言を行っています。私たちは特に以下の提言を行っています。

  1. 市民社会スペースを保護し、拡大するためのタスクフォースの設置
  2. デジタル民主主義を拡大し、企業独占を抑え、デジタルスペースにおける人権を尊重すること
  3. 平等、多様性、包摂性を促進し、社会・環境正義達成に向けた、先住民や伝統的な地域のコミュニティの開発プロセスへの参加と、損失と損害基金に向けたコミットメントを強化すること
  4. 反汚職・腐敗に向けた透明性と説明責任を強化することと、G7が過去に発表したコミットメントを追跡調査すること
  5. 「Pride 7」を自主・自治的に組織された「公式エンゲージメントグループ」として認識し、意味のある参画を行うこと

C7サミットにグリーンピースメンバーが登壇しました

この度、C7の国際会議「Civil7サミット(C7サミット)」が、2023年の4月13日(木)と14日(金)に開催され、グリーンピース・ジャパンから小池宏隆と、グリーンピースEAからYaewon Hwangが登壇しました。

グリーンピースの船の側面に描かれた虹

C7サミットでは、課題別の分科会が開かれ、各トピックについて議論が行われます。主なトピックは以下の通りです。

・気候変動と環境
・公正な経済
・国際保健
・人道支援と紛争
・市民社会スペース
・核兵器廃絶等

開催場所は東京プリンスホテル。1日目の4月13日は9:00〜22:00、2日目の4月14日は9:00〜20:00の間、両日で実に19件にも上るセッションが行われました。

東京プリンスホテルの空撮写真
東京プリンスホテル

「正義、平等、多様性&インクルージョンとSOGIESC」

4月14日の15:30から行われたセッション16「正義、平等、多様性&インクルージョンとSOGIESC」では、グリーンピース・ジャパンから小池宏隆がモデレーターを務め、グリーンピース東アジアのYaewon Hwang(Senior Partner – Equity, Diversity & Inclusion)がパネリストとして参加。

セッションは英語と日本語と手話通訳から言語を選択、対面とオンラインのハイブリッドで参加することができるようになっており、2時間という長さを感じさせない白熱した内容に。

同性婚が認められず、差別を禁止する法律を持たない唯一の国である日本がG7の議長国を務めるにあたり、「SOGIESC(性的指向、ジェンダーアイデンティティ、ジェンダー表現、性的特徴)」においてマイノリティとされる人々の権利を守ることの重要さが話し合われました。

プログラム
13:30〜13:35
開会挨拶・歓迎 モデレーター:グリーンピース・ジャパン小池裕貴

13:35〜13:45
C7コミュニケ*の発表 Narayan Adhikari

13:45〜14:00
プライド7の成果発表会  西山朗(LGBT法連合会)

14:00〜14:50
パネルディスカッション「プライド7に向けて、現在の課題とC7の役割」原ミナ汰(LGBT法連合会)、 西山朗(LGBT法連合会)、Refiloe Masaoana(People’s Matrix Association)、Emilia Reyes

14:55〜15:15
パネルディスカッション「公正で包摂的な社会を構築するためのED&Iの推進」草薙柚季(JAWW)、Yaewon Hwang(グリーンピース・東アジア)、Jacqueline Wong

15:15〜15:25
次期C7でED&Iを主流にする方法 Catherine Nyambura

15:25〜15:30
閉会挨拶

*文書による意思表示、あるいは公式な会議の場でその経過を発表する声明書

C7サミットに参加したグリーンピースのメンバーより

グリーンピース・東アジアのメンバーYaewon Hwangからは、グリーンピースが包括性をもって気候危機に立ち向かうためにどんな活動をしているのかについて発表がありました。

当日の資料の一部。

4月13日と4月14日の両日、セッションのファシリテーター/モデレーターを務めたグリーンピース・ジャパンのシニア・キャンペーン渉外担当小池宏隆は以下のようにコメントしています。

グリーンピース・ジャパン小池宏隆
グリーンピース・ジャパン シニア・キャンペーン渉外担当 小池宏隆

今回、より民主的で開かれた社会をつくるために設置された「しなやかで開かれた社会」ワーキンググループのコーディネーターとして、G7や、G7以外のグローバルサウスなど様々な国からの意見をもとに政策提言をまとめました。

2日間に渡って開催されたC7サミットでは、開かれた社会とED&I及びSOGIESCに関わるセッションのモデレーターを務めましたが、多様な方々の発言から、日本、そして世界が抱える市民社会スペースの縮小や、SOGIESCにまつわる問題が浮き彫りとなりました。

特にSOGIESCに関しては、Catherine Nyamburaさんから発表があったように、日本のような先進国が抱える差別やヘイトが、途上国へと持ち込まれてきた背景があるため、私たちはこの問題を国際的な視点で捉える必要があります。またEmilia Reyesさんから指摘があったとおり、G7の財政や金融政策が、途上国にネガティブな影響を与えていることにも注目しなければなりません。

G7各国にはまず自国が抱える問題と向き合うことを求めたいですし、日本政府にもそのためにリーダーシップを発揮して欲しいと考えています」以上

現在グリーンピースでは、G7に向けてホスト国を務める日本政府に、持続可能なエネルギー政策を求める署名を行っています。
ぜひ、誰もが暮らしやすい世界のために署名に参加してください。

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