ロシア政府によるウクライナ侵攻が始まってから1年となり、世界中が改めて平和へ思いを馳せた今月。人命や世界のエネルギー・食糧危機への影響のみならず、長引く戦争は自然環境を破壊し、気候変動対策の歩みを阻んでいます。そんな中でも、世界55の国と地域で活動するグリーンピースは、一歩ずつ環境活動を前に進めています。

2023年2月の日本と世界のニュース、そしてサポーターのみなさんの力で実現しているグリーンピースの活動の成果や進捗をご報告します。

▼この記事を読むとわかること

> 日本:スターバックスが店内用グラス導入へ
> アフリカ:魚粉工場による汚染水の排水が禁止に
>グローバル:深海採掘のイルカ類への影響を明らかに
> ヨーロッパ:ウクライナ戦争による環境への影響を明らかに
> 300万人のサポーターとともに

日本:スターバックスが1,500店舗で店内用グラス導入へ

(画像出典:Shutterstock)

グリーンピースが2021年から使い捨てではなく繰り返し使えるリユースのカップを中心にするよう働きかけてきたスターバックスが、今月、全国店舗の8割に当たる1,500の店舗で、店内用のグラスを導入することを発表しました!

店内用グラスの利用が徹底されれば、店内での使い捨てカップの消費を大幅に削減できる可能性があります。グリーンピースと一緒に声を上げてくれたサポーターのみなさんにとって明るいニュースです!

しかし、以前からほとんどの店舗でマグカップはすでに導入されていたのにもかかわらず、去年グリーンピースが発表した調査では、スターバックスの店内で提供される飲み物の10個に9個が使い捨てカップで提供されていたことがわかりました。

重要なのは、マグカップやグラスが「使われるかどうか」です。グリーンピースは引き続き働きかけていきます。

グローバル:深海採掘のイルカ類への影響を明らかに

太平洋で深海採掘装置をテストする深海鉱業会社の船。海面に堆積物が浮いているのが見える(2021年4月撮影)

貴重な金属鉱物が含まれている、クラリオン・クリッパー海域と言われる太平洋のエリア(メキシコとハワイの間)に、深海鉱業会社が目をつけています。

グリーンピースとエクセター大学は、深海採掘場とイルカ類の生息地が重なることによる影響を分析し、特に太平洋での採掘に焦点を当てた論文を雑誌「Frontiers in Marine Science」に発表しました。 この分析で、深海鉱山の採掘は海洋生態系に長期的かつ不可逆的な影響を与える可能性があることが判明しました*1

現在、このエリアでは17の開発プロジェクトが進行中で、まだ正式な採掘には入っていませんが、2023年7月までに商業採掘ライセンスが発行される可能性があると推定されています。

深海採掘を止めるためのグリーンピースのプロジェクトのディレクターであるルイザ・カソンは、「深海採掘が海洋生物に与える影響に関する研究がまだ不十分であるにもかかわらず鉱業会社は開発を始める決意であり、もし政府が深海採掘を許可すれば、海を守るという約束を果たすことはできないでしょう」と強調しています。

アフリカ:魚粉工場による汚染水の排水が禁止に

魚粉工場の排水による汚染に反対するカイヤールの地域コミュニティの人々の継続的な働きかけにより、カイヤール市は工場からの近隣への排水を禁止した(2022年10月撮影)

セネガルのカイヤール市が、魚粉工場による汚染水の地元の湖とその周辺への排水を禁止しました*2

地元カイヤールの地域コミュニティは、魚粉工場による汚染行為に反対する活動を続けていて、この決定を地域の人々の健康と自然環境を守る一歩として歓迎しました。そして、工場に対して次なる法的なアクションを開始しています。

前回の裁判では、地域コミュニティは、工場のトラックが近くのムバワネ湖に廃棄物を不法投棄している様子を撮影したビデオ資料を公開し、ダカール大学医学部の水文学・毒物学研究所が行った独自の分析を発表し、湖に違法レベルのクロムとセレンが含まれていることを明らかにしました。そして同じ有害金属が、カイヤールの水道水からも違法なレベルで検出されました。

ヨーロッパ:ウクライナ戦争による環境への影響

砲撃により火災が発生したヘルソン州の森林(画像出典:https://vgoru.org/)

2月24日でロシア政府がウクライナに侵攻を開始してから1年になりました。グリーンピースは、ウクライナのNGOと協力し、戦争による自然環境への影響をマップにまとめました

その影響は、

  • 爆発の生成物による気候変動や酸性雨の促進
  • 石油プラットフォームなどへの攻撃による石油流出
  • ソナーを搭載した戦艦によるクジラ類への悪影響
  • 砲弾に使われる土や地下水の汚染
  • 砲撃による森と生態系の破壊
  • チョルノービリ高度汚染地域の土壌の攪拌

など多岐に渡り、これまでに124万ヘクタールの自然保護地域が影響を受けています

https://www.greenpeace.org/japan/campaigns/story/2023/02/24/61721/

300万人のサポーターとともに

今から50年以上前、核実験を止めるために立ち上がったことをきっかけに始まったグリーンピース。グリーン(緑豊か)でピース(平和な)世界を一貫してビジョンに掲げて活動してきたのは、戦争が最大の環境破壊であるからです。

このビジョンを現実のものとするために、日々グリーンピースと一緒に活動してくださるサポーターのみなさま、本当にありがとうございます。「3分でわかる日本と世界の環境ニュース」でお届けするニュースが、みなさんが行動し続ける力の一つになれば幸いです。

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