2021年、グリーンピースは50周年を迎えました。数名で始まったグリーンピースが、世界55以上の国と地域で活動する国際環境NGOに成長できたのは、支援してくださるみなさまの支えがあったおかげです。改めて感謝申し上げます。活動に多くの制限をつけざるを得ない新型コロナウイルス感染症蔓延2年目という困難が続いた年でしたが、オンラインイベントなどを通してみなさまと一緒に、誕生から半世紀という重要な節目を迎えることができたことを大変嬉しく思います。

また、グリーンピース・東アジアとの連携を強化するため、内部の組織変更を実施しました。これにより、世界各地で活動する国際環境団体としての本来の強みをより生かし、国境を超えて影響を及ぼす環境問題に対し、これまで以上に素早く、効果的な活動を進められるようになりました。

しかしそれは同時に、取り組まなければならない深刻な環境問題が、まだ残されているということです。

2021年は、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から10年を迎えた年でもありました。一度事故が発生すれば、現代の科学技術をもってしても、もとに戻すことはできないという事実を改めて痛感しました。

また、8月に公表されたIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)の最新報告書では、世界平均気温が産業革命前に比べ、すでに1.09℃上昇していると発表されました。

このような状況を目にして絶望してしまいそうになります。しかし、確かに危機的な状況にはありますが、決して絶望的ではありません。IPCCの報告書には、世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑えることはまだ実現可能だというメッセージも込められています。

そして2020年の秋、日本政府もようやく2050年カーボンニュートラル宣言を表明しました。この宣言を受け、日本社会でも一気に脱炭素社会の実現を目指す対策が動き出しました。

こうした国内、とりわけ経済界での変化を追い風に、より一層力強く気候危機対策を加速化させ生物多様性を守るために、再生可能エネルギー100%の循環型社会を目指して多様なキャンペーンを実施しました。特に、東アジアの他のグリーンピースのオフィス(北京、香港、台北、ソウル)と密接かつ深く連携した結果、これまで以上のスピードで問題解決のための大胆な挑戦と成果を生み出せた年でした。

3月から開始した日本の自動車産業の脱炭素化を目指すキャンペーンでは、12月、トヨタ自動車が2035年までにレクサスブランドについては全世界で化石燃料車の販売終了、その他ブランドについても西欧州では同年までに100%ゼロ炭素排出車販売を発表しました。

また、2月から開始したプラスチックキャンペーンでは、スターバックスコーヒージャパンに対して、使い捨てプラスチックや紙のカップを前提とするビジネスモデルからリユースシステムへの転換を求めてきました。同社では、11月より都内でリユースカップの実証実験を開始し、CEOもリユースの重要性に言及を始めています。グリーンピースは引き続き全国規模でのリユースシステムの導入を求め働きかけを続けています。

市民と共に取り組んだゼロエミッション活動では、いくつもの地方自治体が市民の働きかけによりゼロカーボンシティ宣言を採択し、具体的なロードマップの作成に着手する環境を整えることが出来ました。

50周年というこのタイミングを、グリーンピース・ジャパンとして、過去を振り返るよりも、この先の未来を見据えるために使うべきだと考えています。科学的根拠に基づいた確度の高い提案と、徹底した現場主義を軸に、「行動するNGO」としてこれからも活動を続けていきます。

地球の恵みを、100年先の子どもたちに届けるためにも、これからもぜひ、グリーンピースと一緒に行動してください。

グリーンピース・ジャパン 
事務局長  サム・アネスリー