核兵器禁止条約

核兵器は、人類がこれまでに生み出した兵器の中で、最も破壊的で無差別なものです。しかし今日私たちは、平和に向けた長い道のりの中の、大きな一歩を祝うことができます。2021年1月22日、核兵器禁止条約が、国際法として発効しました!

2021年は、核実験反対運動から生まれたグリーンピースが50周年を迎える年でもあります。1971年9月、数人の活動家が、アラスカの西海岸沖の核実験を止めるために、アムチトカ島へむけて船を出しました*1。核兵器廃絶のために長きにわたって活動してきた、ICANをはじめとした世界中の人々と共に、この歴史的な日を迎えることができて、私たちもとても嬉しく思います!

核兵器禁止条約
核実験を止めたいと願う12人が船にのり、バンクーバーからアムチトカ島へ出発。これがグリーンピースの始まりに。1971年9月

しかし、被爆国である日本、そして9つの核保有国は、この条約に賛同していません。核兵器禁止条約は、どのような効果があるのでしょうか?これからどんな課題が残されているのでしょうか?ICANフランスのジョン-マリー コラン氏にお聞きしました。

1. 核兵器禁止条約が発効しました。ここまでの道のりについて教えてください。

核兵器は、1945年に初めて使用され悲劇を引き起こしてから、人類への脅威であり続けました。市民は、核兵器をなくすために声を上げてきましたが、世界の歩みはとても遅いものでした。

2010年からICANは、核兵器を禁止するための法的な枠組みを作るために国連で交渉するよう、複数の政府に対して働きかけを始めました。2017年7月7日に、圧倒的多数の国(122)が、核兵器禁止条約を承認しました。2020年10月24日までに、50カ国が署名・批准したことで、90日後の今日、核兵器禁止条約が発効し、核兵器は違法となりました。

2. 条約が発効して何が変わるのでしょうか?

核兵器は、これまでも道徳に反するものと考えられてきました。それに加えてこれからは、化学兵器や生物兵器のように、核兵器は違法となります。こうした兵器の一般的な認識を変えるために、非常に重要なことです。条約では核兵器の禁止が様々な形(製造、所有、使用、移動、威嚇等)で打ち立てられ、拘束力があるので、シンボリックなもので終わりません。

3. 9つの核保有国(アメリカ、イギリス、ロシア、フランス、中国、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮)には影響するのでしょうか?

核保有国は、この条約には署名していません。むしろ、失敗に終わっていますが、この条約を止めようとすらしました。署名を拒み続ける限り、この条約は核保有国には影響しません。しかし、これらの国が核保有を正当化するのはより難しくなるでしょう。国際的な批判も、国内での政治的な圧力も増えるでしょう。

この条約は、金融機関(年金基金、銀行など)にも大きな影響を及ぼします。核兵器システムへの投融資も禁止しているからです。これまで金融機関は、核兵器に投融資することで、核の危機に大きな役割を果たしてきました。これからは、金融機関は新しい基準を支持するか、拒絶するかを選ばなければなりません。拒絶すると決めた場合、その金融機関のイメージは損なわれ、顧客に不人気になるリスクを負うでしょう。

核兵器禁止条約を支持していない国の金融機関(ドイツ、日本、オランダ、スウェーデンなど)でも、すでに投融資の引き上げを決めているところもあります。条約が広範囲に影響することの顕れと言えるでしょう。

4. 条約が発効した今、ICANはどのような活動を優先していきますか?

私たちの重要な活動は、たくさんの国が条約に署名・批准することで、条約が法的な影響力を増し、可能な限り普遍的なものになるようにすることです。条約がどのように実行されていくかをモニタリングすることも、その有効性を証明するために重要です。

そして、世論も非常に重要です。ヨーロッパでは、ICANのパートナーのキャンペーンの成果もあり、条約を支持する人の数が増えています(例えば、フィンランドでは84%、ベルギーでは77%の人が支持しています)。こうした活動は非常に重要で、より多くの人が政府に条約に署名するようにプレッシャーをかけることで、条約はより強固なものになっていきます。